組み込みプロセッサの最新動向 ――ヘテロジニアスなマルチプロセッサ構成が主流に
しかし最近では,汎用RISCプロセッサのみでは処理が追いつかないような負荷の重いアプリケーションが増えています.汎用RISCプロセッサはユーザ・インターフェースや比較的上位のレベルのプロトコル処理などのために必須です.しかし,どちらかと言うと,システムを構築する土台としての地味な役割が中心になってきており,主役のプリマドンナは別にいるケースが多くなっています(図1).
実際にスポット・ライトを浴びるデータ処理の中心にいるのは,アクセラレータと呼ばれる回路ブロックであったり,専用プロセッサ・コアやDSPコアであったりします.それも機能に応じて複数登場したりするわけです.これらは分類上はマルチプロセッサ・システムというカテゴリに入りますが,パソコンやサーバなどで一般的となっているシンメトリカルな(対称性のある)マルチプロセッサ・システムとは明らかに異なるものです.処理の内容に応じて異なるプロセッサを使い分ける,ヘテロジニアスな(非対称の)マルチプロセッサ・システムこそ,組み込み分野における現在の主流派であると言えるでしょう(図2).
マルチプロセッサにはさまざまな構成がありうるが,組み込み用途では,処理の内容に応じて異なるプロセッサを使い分ける「ヘテロジニアスな(非対称な)」マルチプロセッサ構成が主流である.