組み込み/ストレージ機器向けプロセッサやAtom内蔵の民生機器向けプロセッサを発表 ―― IDF(Intel Developer Forum) 2009レポート
米国Intel社は,システム開発者向け会議「IDF(Intel Developer Forum) 2009」を9月22日~24日に米国カリフォルニア州San Franciscoの会議場Moscone Center Westで開催した(写真1).IDFは,同社の技術開発の方向性や次世代プロセッサの最新開発状況,将来のビジョンなどを紹介する.本レポートでは基調講演を中心に,技術開発のトレンドやプロセッサ製品の開発状況を伝える.
初日の午前には,同社のプレジデント兼最高経営責任者(CEO)を務めるPaul S. Otellini氏が,「Building a Continuum of Computing」と題して講演した(写真2).同社のマイクロプロセッサ製品群は大別すると,インターネット接続機器向けのAtomプロセッサ,パソコン向けのCOREプロセッサ,サーバ向けのXeonプロセッサに分かれる(写真3).いずれも最新世代は45nmの高誘電率膜/金属ゲート(High-k/Metal Gate)技術で製造されており,CPUコアはAtomプロセッサが「Bonnell」コア,COREプロセッサとXeonプロセッサがともに「Nehalem」コアとなっている.
半導体製造技術の微細化動向でみると,45nm世代の次は32nm世代である.32nm世代のプロセッサの量産は,2009年第4四半期に始まる.その次の世代は22nm世代で,開発が順調に進めば,2011年に量産が始まる.講演では,22nm技術で高密度SRAMを作り込んだウェハの実物がOtellini氏により披露された(写真4).
22nmプロセスのトランジスタには高誘電率膜/金属ゲート技術を用いる.同社の高誘電率膜/金属ゲート技術の適用は,3世代目になるという.試作したSRAMのメモリ・セルの面積は0.092μm2(平方ミクロン)と非常に小さい.SRAMチップの記憶容量は364Mビット,集積したトランジスタの数は29億トランジスタである.
インターネット接続の組み込み機器向けとして普及が始まったAtomプロセッサについては,32nm以降のロードマップを示した(写真5).まずマイクロプロセッサを開発し,それからマイクロプロセッサをCPUコアとしたSoC(System on a Chip;特定用途向けプロセッサ)を開発する.最初のAtomプロセッサである45nm版から,32nm版,22nm版,15nm版と同じ方針でマイクロプロセッサとSoCを開発していく計画である.なお32nm版のAtomプロセッサは,「Saltwell」と呼ぶコアを内蔵するマイクロプロセッサになる.
そしてAtomプロセッサで動くソフトウェアの開発者をサポートするプログラム「Intel Atom Developer Program」を始めたことを明らかにした(写真6).Intel Atom Developer ProgramのWebサイトがすでに立ち上がっており,ソフトウェア開発を支援する情報を提供していく.