開発エンジニアのためのiPhone活用法(1) ―― iPhone電卓/計算機アプリを時定数やA-D変換,電荷量の計算に利用する

井倉 将実,大木 真一

tag: 組み込み

コラム 2009年10月 9日

 Apple社が発売し,日本国内ではソフトバンクモバイルがキャリアとして端末を販売しているiPhoneは,電話機としての利用はもちろんのこと,筆者らのシステム開発の現場でも活用しています.

 iPhoneの特徴は,すでに85,000種を超えるアプリケーション・ソフトウェア(以下,アプリ)が,管理ツールのiTunesを利用していとも簡単に手に入るという点です.しかし,iPhoneユーザであればすでにご存知のように,膨大なアプリの中から「これはつかえる!」というものを探すのはなかなか骨が折れることです.

 開発に役立つアプリの登録数はほかのアプリと比べるとはるかに少ないですし,回路設計などの助けになるようなアプリは地味なものが多いようです.ただし,一般的な音楽系や映像系のアプリでも,「このアプリは,こういう開発に使えるんじゃない?」という発想で入手したものが,筆者の手元に多くあります.実は,映像や音楽再生を主眼とするアプリは測定器代わりに使えるものもあり,例えば周波数カウンタ代わりに使うことが考えられます.

 iPhoneアプリは低価格でどんどんよいものが登場してくるのが面白い点だと感じています.また,非常に使いやすいユーザ・インターフェースを持っているのもポイントでしょう.そういったアプリを小型で持ち運びやすいiPhoneという端末で動作させることで,応用が広がります.

 これらを踏まえ,今回から順番に,開発現場で使えるアプリをご紹介していきたいと思います.


 

●今後の予定

 本連載では,下記の系統のアプリを順次紹介していく予定です.

1) 電卓/計算機アプリ

 iPhoneを開発現場で用いるときに役立つツールとしてもっとも使用頻度が高いのが,関数電卓やグラフ作成に対応した電卓アプリでしょう.広い画面を用いて計算式の過程を表示したり,計算結果を電子メールで送ったり,また単なる数式の計算だけでなく,円や矩形の面積を求めるなど,多くのアプリを入手することができます(図1).


図1 HiCalc

総和演算の例.x値を0.1づつずらしながらf(x)=Σを演算する.


>>>「電卓/計算機アプリ」の紹介はコチラ

 

2) 回路設計の手助けアプリ

 回路設計と直結して役に立つアプリとして,抵抗のカラー・バーから抵抗値を計算するアプリ(図2),R/L/Cフィルタの定数を算出するアプリ,時間を作成するためのタイマIC555向け周期算出アプリ(図3)などがあります.これらのアプリのうち,抵抗カラー・バーのアプリは有償・無償さまざまですが,一つくらいはiPhoneにインストールしておいてもよいのではないかと思います.表面実装部品が主流となった電子回路の設計ではあまり必要になりませんが,カラー・バー付きの抵抗器を並列/直列に組み合わせて抵抗値を算出する方法は,試作機などを使ったデバッグ段階ではとても重宝します.


図2 iRegist

抵抗のカラー・バーを視覚的に入力して抵抗値を計算する.


図3 Electrocal Ref

タイマIC LM555の出力パルス周期の計算やICのピン配置など,設計中に参照できると便利な資料が収録されている.

 

>>>「回路設計の手助けアプリ」の紹介(連載 第2回)はコチラ

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