初出展のマイクロソフトが「パソコンを作る楽しみ」をアピール ―― 第34回 2010日本ホビーショー レポート
「HOBBY+ もっと広がる.もっと深まる」をテーマに,さまざまなジャンルのホビーを一堂に集めた展示会「第34回 2010日本ホビーショー」が,2010年5月6日~8日の3日間,東京ビッグサイトにて開催された(写真1,写真2).本展示会には,手芸やクラフト,スクラップ・ブッキングなどの「定番ホビー」のほか,ニット,デコ,パソコンなどの新しいホビー・ゾーンも登場した.ワークショップの体験コーナを充実させ,世代や性別を問わず参加できる展示会となっていた.今回は,現在,ブームとなっている“デコ”をコンセプトにしたテーマ・イベント「デコーる・ワンダーランド」を開催した.22名の作家による作品の展示や講習会の開催,最新の素材や用具,技法などを集めたモールが隣接するなど,デコに彩られた空間が展開されていた.
写真1 「第34回 2010日本ホビーショー」の看板
写真2 会場受付の様子
主催は,社団法人 流通問題研究協会と社団法人 日本ホビー協会.「ホビークッキングフェア2010」が同時開催されていた.
●ホビーの世界にも,パソコン活用を提案
今回,パソコン・ホビーゾーンで初出展となるマイクロソフトは,「パソコンを作る楽しみ」をメイン・テーマとして,ホビー向けの数々のアプリケーションを展示していた.Windows 7を搭載したパソコンを常設する体験コーナやワークショップを通して,来場者に新しいパソコンの楽しみ方を提案するという試みである.
「自作パソコン」のコーナでは,透明ケースを使用して,メイン・ボードやHDD(ハード・ディスク装置),光学ディスク装置など,パソコン内部の構造が外から見られるようにしたデスクトップ・パソコンを展示した(写真3,写真4).
写真3 パソコンの内部を公開
写真4 パソコンを構成するパーツを展示
開催初日の5月6日には,動画編集ソフトウェアの開発会社であるLOiLOが,同社のソフトウェア製品「LOiLO Touch」のデモンストレーションを行った(写真5).「LOiLO Touch」はスピーディな動作と直感的な操作を特徴としている.Windows 7のタッチパネル操作「マルチタッチ」に対応しており,タッチするだけですべての操作が行える.
写真5 「LOiLO Touch」による印刷例
でき上がった作品は,YouTubeや,DVD,動画ファイル,iPodなどへ出力することができる.ブース内では「LOiLO Touch」をインストールしたパソコンが用意され,来場者が実際の操作を体験できるようになっていた.
このほか体験コーナでは,「地デジを試聴・録画する」,「写真のネガやプリントなどのアナログ・データをディジタルに変換する」,「オリジナルのペーパ・クラフトを作る」など,ホビー用途ならではのパソコン活用法が提案されていた.
また,アナログからディジタルにデータを変換する際に使用するスキャナとして,PFUの「ScanSnap S1300」が紹介されていた(写真6).同スキャナは,ボタンを押すだけで書類をPDF化する「インテリジェント機能」を搭載する.また,バインダに紙文書をファイリングするような感覚でディジタル・データを統合・管理できるドキュメント・ファイリング・ソフトウェア「楽2ライブラリ パーソナル V5.0」を同梱したセット・モデルも提供している.
写真6 PFUの「ScanSnap S1300」
A4サイズ原稿を最大10枚まで一度にセットすることが可能で,傾き補正や,向き補正,白紙ページ削除などの自動化機能を搭載する.対応するOSは,Windows7およびMac OS X v10.6で,1台で書類の読み取りから名刺管理まで利用できるハイブリッド対応であるという.
●CPUとOSを搭載して進化するミシン
ベルニナジャパンは,CPUとOSを搭載したミシンであるソーイング・エンブロイダリ・システム「artista 730」を展示した(写真7).本機器は,CPUに米国Intel社のプロセッサを,OSにWindows CEを採用したソーイング・コンピュータである.
写真7 ベルニナジャパンの「artista 730」
本機器の中央部には,大型のカラー液晶画面が配置されており,タッチ操作により21種類のデザインと10種類の書体を直感的に選ぶことができる.ベルニナ・ステッチを自動で縫う機能を標準で装備しており,布の動きに合わせてミシンが動き,スピードも布の動きに合わせて自在に変化させることが可能となっている.
オプションの専用Ethernet LANカードをPCカード・スロットに差し込んでルータに接続すれば,直接,Webサイトにアクセスでき,ソーイング情報の検索や刺繍データのダウンロードなども可能.64MバイトのUSBメモリを標準装備し,刺繍データの読み込みや書き出し,ソフトウェアのバージョンアップなどを行える.
●Tシャツ専用インクジェット・プリンタ
シージェーピーグラフィックスは,米国AnaJet社のTシャツ専用のダイレクト・インクジェット・プリンタ「Anajet SPRINT Apparel Printer」を展示した(写真8).
写真8 シージェーピーグラフィックスの「Anajet SPRINT Apparel Printer」
Tシャツ・プリントは,従来のシルク・スクリーンからダイレクト・インクジェットに変わりつつあるという.ダイレクト・インクジェットによって,シルク・スクリーンでは表現が難しかったきめの細かい表現やフルカラーの表現,グラデーションなどを簡単に印刷できるようになる.
新しいプリント・ヘッドの採用を採用し,クリーニングなどの保守・維持にかかるコストを削減できたという.このほか,ダイレクト・インクジェット印刷向けに開発された水性インク「AnaBright」や「PolyBright」は日焼けに強く,洗濯したときに色が薄くなっていく様は,シルクスクリーンで印刷したTシャツと同程度.AnaBrightは綿素材向きの,PolyBrightはポリエステルやナイロン,レーヨン,スパンテックスなどの素材に向いたインクである.また,白インクを搭載しているため,濃色のTシャツへも印刷できる.
きたむら・としゆき