「電気自動車」時代到来,自動車産業がエレクトロニクスの発展を駆動へ ―― 東京モーターショー2009レポート

福田 昭

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レポート 2009年10月27日

 日本最大の自動車展示会「第41回東京モーターショー2009」の一般公開が10月24日(土)に幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)で始まった(写真1).これに先駆けて,10月21日~22日に報道関係者向けの招待日が設けられ,展示会の内容が公開された.


写真1 会場となっている幕張メッセ

 

 自動車産業の抱える大きな課題は「環境」と「安全」である.東京モーターショー2009では特に,環境に配慮したコンセプト・モデルの出品が目立っていた.内燃機関が排出する地球温暖化効果のあるガスや生体に有害なガスを減らすため,「ハイブリッド車」,「電気自動車」,「燃料電池車」の開発が進められている.ハイブリッド車はすでに膨大な市販車の実績を有しているが,排出ガスがなくなるわけではない.そこで「ゼロ・エミッション」,すなわちガスを排出しない電気自動車が東京モーターショー2009では積極的にアピールされていた.

 電気自動車は電気モータで車両を駆動するので,内燃機関の自動車とは異なる発想で車両を設計することが可能で,車両設計の自由度が高まる.例えば,ガソリン自動車ではエンジンを二つ載せることは考えられないが,電気自動車では複数の駆動用モータを載せることは難しくない.こういった利点を生かしたコンセプト・モデルが興味深かった.

●2010年には本格的な電気自動車の入手が個人でも可能に

 今回,国内大手自動車メーカが最も力を入れてアピールしていたのは,電気自動車だろう.大半のメーカが電気自動車を展示していた.

 日産自動車は,2010年後半に販売開始を予定している電気自動車「LEAF(リーフ)」を展示した(写真2,写真3).リーフは5人乗りの乗用車で,全長4,445mm×全幅1,770mm×全高1,550mmと3ナンバ枠の車体寸法を有する.ホイール・ベースは2,700mmとかなり長めである.リーフは完全な新規設計の電気自動車で,ベース車両は存在しない.


写真2 日産自動車の電気自動車「LEAF(リーフ)」
2010年後半に販売開始される予定

 



写真3 「LEAF(リーフ)」の運転席
展示された車両は左ハンドル車だった

 

 車両駆動用バッテリはリチウムイオン電池で,容量は24kWh,出力は90kW.交流同期モータをフロントに配置する前輪駆動方式を採用した.モータの最高出力は80kW,最大トルクは280Nmである.最高速度は140km/hとする.航続距離は160km(US LA4モード)と電気自動車としてはかなり長い.

 日産自動車は,電気自動車のコンセプト・モデル「LandGlider(ランドグライダー)」も展示した(写真4).細長い独特の外観を有する2名乗車の小型乗用車である.座席は運転者が前席,同乗者が後席というタンデム配置だ.外形寸法は,全長が3,100mm×全幅1,100mm×全高1,415mm,ホイール・ベースが2,180mm.全長は軽自動車よりも短く,全幅は異様に狭い.言い換えると,すり抜けや駐車などに必要な面積が非常に少なくて済む.


写真4 電気自動車のコンセプト・モデル「LandGlider(ランドグライダー)」

 


 駆動用モータは2個.左後輪と右後輪にそれぞれ駆動用モータを装備した,左右独立の後輪駆動である.駆動用バッテリにはリチウムイオン電池を使用する.

 LandGliderはステアリングが電気式であることを生かし,車体が最高で17度まで自動的に傾くリーン機能を搭載している.ステアリングの操作に応じて,電子制御ユニット(ECU)が即座に車体の最適な傾斜角度を計算して車体を傾かせる.また,独自開発のアルゴリズムに基づく衝突回避システムを搭載する.電気自動車の発展の可能性を実際に示す意欲的なコンセプト・モデルである.

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