中小メーカを巻き込んで産業振興,台湾が"EV"に熱い国になっていた! ――The 2nd Taiwan International Electric Vehicle Show(EV TAIWAN 2012)
2012年4月12日~4月15日に台湾のTaipei World Trade Center(TWTC)にて,EV(電気自動車)技術関連の展示会「The 2nd Taiwan International Electric Vehicle Show(EV TAIWAN 2012)」が開催された.現在,世界でEVをリードしているのは,日本でも欧米でもなく,台湾なのではないのか? 本展示会に参加して,そのような印象を受けた.台湾ではEVが,大手メーカだけでなく,中小企業をも巻き込んだ"産業"として成り立っている.
●Teslaのモータは台湾製
台湾でEVビジネスが盛り上がっているという話は,数年前からしばしば聞いていた.その契機となったのは,シリコンバレーのEV開発ベンチャである米国Tesla Motors社がそのEVの駆動用モータに,台湾のモータ会社であるFUKUTA Elec. & Mach社(富田電機)を採用すると発表したことだった(写真1).驚くべきニュースだった.なぜならFUKUTA社はそのとき創業十数年目で,社員数が10人の会社でしかなかったからだ.資金を潤沢に集めていた(!?)Tesla社が,なぜ台湾企業のモータを....実際,現在のTeslas社の主力であるRoadsterとModel SのモータはFUKUTA社から供給を受けている.
本展示会は昨年に続いて2回目の開催である.昨年と比べて,出展社数は大幅に増えたそうだ.来場者も相当数増えたと思われる.出展企業のほとんどが台湾メーカで,日系企業や欧米系の企業は出展していない.もちろん,世界的大手の自動車メーカなどからの市販EV車の展示もない.
本展示会は,EV完成車やコンバージョンEV,モータ・電池などのEV部品,充電インフラなど,EV関連の総合展示会である.その関連の大企業はもちろん,中小企業も数多く出展している.有名なCOMPUTEX TAIPEI(台北国際コンピュータ見本市)のEV版というか,日本で毎年開催されるEVEX(電気自動車開発技術展)の台湾版というか,ともかくEVの本格的なトレード・ショウである.会場では,欧米人や日本人など,海外のバイヤ(来場者)の数も多いと感じた.
●官民一体でEV振興
会場へ足を踏み入れると,台湾の自動車メーカであるYulon Motor社(裕隆汽車)の高級SUV(Sport Utility Vehicle)「LUXGEN7 SUV」をベースにしたメーカ製コンバージョンEVが出迎えてくれた(写真2,写真3).政府系EV普及推進組織のこのブースでは,台湾政府が行っているEV普及推進への商品開発として,EV車のほか台湾製CHAdeMOの急速充電器や台湾各社のSAE J1772充電スタンド,実証実験の様子などが紹介されていた(写真4,写真5).
さらに進むと,台湾電子計測機器大手のChroma ATE社(到茂電子)のブースでは,慶應義塾大学の「Eliica」,「横浜電気バス」,「SIM-LEI」などに採用されている台湾の大手モータ・メーカのTECO Electric & Machinery社(東元電機)がインホイール・モータのデモ展示を行っていた(写真6).さらにその向かいのブースでは,前述のFUKUTA社がTesla社に採用されたモータなどを展示していた(写真7).