「電気自動車」時代到来,自動車産業がエレクトロニクスの発展を駆動へ ―― 東京モーターショー2009レポート
●ペダルを省いた小型電気自動車のコンセプト・モデル
トヨタ自動車は電気自動車のコンセプト・モデル「FT-EVⅡ(Future Toyota Electric Vehicle Ⅱ)」を展示した(写真9).電気配線とモータ駆動による設計の自由さを積極的に利用したコンセプト・モデルである.
写真9 トヨタ自動車が展示した小型電気自動車のコンセプト・モデル「FT-EVⅡ」
FT-EVⅡの見掛けは小型の電気自動車なのだが,運転席にアクセルとブレーキのペダルが存在しない.その代わりに見慣れないスティックが2本,存在する(写真10).両手でこの2本のスティックを動かすことで,アクセル,ブレーキ,ステアリングの操作をすべてこなす.従来のクルマとはまったく違った操作系である.
写真10 「FT-EVⅡ」の操作系
垂直に立った白いスティック2本を動かしてアクセル,ブレーキ,ステアリングを操作する
また,エンジンがないのでフロント・カウルを低くし,フロント・ウィンドウの下にさらにウィンドウを配置した.このウィンドウによって前方視界を拡大した.
FT-EVⅡの外形寸法は,全長が2,730mm×全幅1,680mm×全高1,490mm,ホイール・ベースが1,900mm.乗車定員は4名.バッテリはリチウムイオン電池である.最高速度は100km/h,航続距離は90kmとする.
●相次ぐ電動スクータの展示
本田技研工業は,小型電気自動車のコンセプト・モデル「EV-N」を展示した(写真11).外形寸法は,全長が2,860mm×全幅1,475mm×全高1,515mm,ホイール・ベースが1,995mmである.
写真11 本田技研工業の小型電気自動車のコンセプト・モデル「EV-N」
本田技研はまた,業務用バイクのロング・セラー機種「スーパーカブ」の電動コンセプト・モデル「EV Cub」を展示した(写真12).前輪と後輪に駆動用モータを装着した2輪駆動の電動バイクである.外形寸法は,全長が1,794mm×全幅647mm×全高995mm,ホイール・ベースが1,180mm.
写真12 電動バイクのコンセプト・モデル「EV Cub」
さらに,電動スクータのコンセプト・モデル「EVE-neo(イーブ・ネオ)」(写真13)と電動1輪車のコンセプト・モデル「U3-X」(写真14)を参考展示した.EVE-neoの外形寸法は全長1,820mm×全幅681mm×全高10,66mm.U3-Xの外形寸法は全長315mm×全幅160mm×全高650mm.2足歩行ロボット「ASIMO」のバランス技術を応用し,倒れないように制御している.
写真13 電動スクータのコンセプト・モデル「EVE-neo」
写真14 電動1輪車のコンセプト・モデル「U3-X」