LSI周りのアナログ回路をシミュレータで理解する ―― RCフィルタ,降圧型,DC-DCコンバータ,アクティブ・フィルタなど
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技術解説 2009年5月27日
● ワースト・ケース解析
ワースト・ケース解析は,設定した各素子値の公差の上限や下限の組み合わせから,出力の仕様が最悪となる組み合わせを求める解析です.この機能を持つSPICE系ツールはあまり多くないと思います.機能もツールによって若干異なっています.このツールでは,単純にすべての組み合わせを実行するという仕様です.
図26が解析の設定です.Options : のCorners onlyは,公差の上限下限値だけを組み合わせるという意味です.素子数が5ですので,25=32通りの組み合わせが実行されます.Corners and nominalでは,これに公称値の組み合わせも加わります.
VDBpeakとFpeakの解析結果を,それぞれ図27と図28に示します.表示するグラフのTypeは,HistogramからAutoに戻します.32通りの結果が表示されています.カーソルで最大値と最小値を示しています.シミュレーションのすべての情報が記述されている出力ファイルで,組み合わせを参照すると表1のようになりました.
モンテカルロ解析の結果や,このワースト・ケース解析の結果を,回路を量産したときの歩留まりの予測に役立てることができます.
4 A-Dコンバータ+RAM+D-Aコンバータ回路
アナログ/ディジタル混在シミュレーション機能を簡単な例で試してみましょう.図29に分解能が4ビットのA-DコンバータとD-Aコンバータが含まれた回路を示します.アナログの正弦波信号をA-Dコンバータでディジタルに変換して,RAMにいったん保存します.そのデータをD-Aコンバータで再度アナログに変換し,フィルタなしで出力させています.
結果の波形を図30に示します.上の二つがアナログの入力と出力の波形です.