組み込み機器に欠かせなくなった不揮発メモリの最新動向 ―― フラッシュROM,FeRAM,MRAMの現在

井倉 将実

tag: 半導体 電子回路

技術解説 2008年9月16日

●非同期SRAMやEEPROMと互換性を持たせたFeRAMを製品化

 FeRAMについては,例えば富士通マイクロエレククトロニクスが256Kビット~2Mビットの「MB85R-FeRAMファミリ」を製品化しています(表3).アクセス速度は70ns~100nsと比較的低速ですが,書き換え回数は10の10乗回(10億回)が可能となっており,フラッシュROMやEEPROMをしのぎます.

 特徴的なことは,48ピンのTSOPパッケージに封止されており,非同期SRAMと同一パッケージであることです.ピン機能に互換性があるため,非同期SRAMを搭載した組み込み機器であれば,基板のレイアウト設計を変更しなくても,そのままの状態でFeRAMに差し替えられます.

 また,同じ技術を使った「MB58RS256」というICも登場しています.このICの容量は256Kビットで,SPIインターフェースを備えています.これは,従来のEEPROMの置き換えを狙ったものです.

型名 容量 ビット幅 インターフェース 書き換え回数 駆動電圧 パッケージ
MB85R256H 256Kビット x8 LVTTLパラレル 10の10乗回 3.3V 48ピンTSOP
MB85R1001 1Mビット x8 LVTTLパラレル 10の10乗回 3.3V 48ピンTSOP
MB85R1002 1Mビット x16 LVTTLパラレル 10の10乗回 3.3V 48ピンTSOP
MB85R2001 2Mビット x8 LVTTLパラレル 10の10乗回 3.3V 48ピンTSOP
MB85R2002 2Mビット x16 LVTTLパラレル 10の10乗回 3.3V 48ピンTSOP
MB58RS256 256Kビット x1 SPIシリアル 10の10乗回 3.3V 8ピンSOP
表3 MB85R-FeRAMファミリの概要

●MRAM製品の特徴は高集積と幅広い動作温度範囲

 MRAMについては,東芝やNECなど,複数の企業が研究・開発を行っています.このうちFreescale Semiconductor社は,記憶容量が4MビットのMRAM「MR2A16A」を既に製品化しています.アクセス時間は35ns,最大消費電流は150mA前後という仕様で,44ピンのTSOPパッケージに封止して提供しています.MRAMは,技術的にFeRAMよりも単位面積当たりの集積度を引き上げることが容易です.そこで,数Mビット~数十Mビットの記憶容量を持つ製品の登場が期待されています.

 MRAMの特徴の一つは,車載用や軍事用などで要求される,幅広い温度範囲で動作保証された品種が用意される点です.英国e2V社は同社の既存製品の拡張版として,動作温度範囲が-40℃~100℃,および-55℃~125℃のMRAMを提供しています.こちらも既存製品と同一パッケージで提供されており,温度範囲の選択肢が広がります.

 なお,Freescale Semiconductor社が開発したMRAM製品やその関連技術については,2008年6月より,同社が出資する合弁会社のEverSpin Technologies社への技術移管が始まっています.


いくら・まさみ
FPGA-Magician / 来栖川電工(有)

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