組み込み機器に欠かせなくなった不揮発メモリの最新動向 ―― フラッシュROM,FeRAM,MRAMの現在

井倉 将実

tag: 半導体 電子回路

技術解説 2008年9月16日

●それぞれのフラッシュROMには得意・不得意がある

 それぞれのフラッシュROMの機能の違いを大ざっぱに説明すると,以下のようになります.

  • NOR型フラッシュROM――メモリ内のどのような領域でもアクセスが可能である.NAND型に比べると容量は比較的少ない
  • NAND型フラッシュROM――数百バイト~数Kバイトのブロック単位のアクセスになる.NOR型やEEPROMと比べて,大容量を実現できる
  • EEPROM――小型かつ少ない本数のI/Oピンでデータの入出力が可能.NOR型やNAND型に比べて容量は小さい(数Mビットまで)

 実際には,それぞれの特徴を併せ持つようなメモリも登場しているので,一概に上記の機能の違いがすべてとはいえません.「このような傾向がある」という程度に考えてください.

●ランダム・アクセスかブロック・アクセスか

 システムの構成を検討する段階でフラッシュROMを選択する場合,まず,どのような用途に使うものなのかを考えます.

 例えば,SH-4Aコアを搭載したルネサス テクノロジの32ビット・マイコン(SH7780など)では,ブート直後の命令コードの実行のためにランダム・アクセス可能なメモリが必要です(ほかの多くのマイコンも同様).NOR型フラッシュROMはランダム・アクセスが可能ですが,NAND型では定められたサイズのブロック(例えば2Kバイト)単位でしかアクセスできません.命令コードを読み出すとき,待ち状態や読み出しの時間が長すぎるとタイムアウトが発生します.また,EEPROMはブート直後の命令コードを実行するメモリとして使用できません.

 このように,ブート直後はどうしてもNOR型フラッシュROMを使用してSH-4Aマイコンを起動しなければなりません.一定時間内に応答しなければならないという,ランダム・アクセス性能が要求されます.

 一方,携帯型プレーヤなどの音楽データや映像データの場合は,データを一つの固まりとして扱うため,ブロック単位のアクセス性能が重視されます.例えば音楽再生機器では,圧縮された音楽データをブロック単位で読み出し,ソフトウェアがデコードしている最中に,次のデータをさらにメモリから読み出す,という操作を行います.通常,このメモリ・アクセスの単位は数Kバイトであり,かつ連続したデータのアクセスなので,ブロック単位のアクセス性能が重視されます.また,音楽の頭出し再生や逆再生などであっても,まとまったデータから音楽の再生データを生成するため,メモリをランダムにアクセスする必要はありません.ここでは音楽再生機器を例に挙げましたが,一般にデータを保存する用途にはNAND型フラッシュROMが使われます.

 このように,ランダム・アクセス性能を重視するか,ブロック単位のアクセス性能を重視するかで,使用するフラッシュROMの種類が変わります.

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