あなたが設計したLSIから秘密情報が漏れてます ―― 暗号回路のトレンドはアルゴリズムの標準化から実装の安全性評価へ

佐藤 証

tag: 組み込み

技術解説 2006年4月 3日

●○● Column 3 ●○●
暗号とデータ圧縮

 英文では文字EやTの出現頻度がとくに高く,XやZはほとんど現れません.また,Qにはほとんどの場合Uが続くというように,文章中の文字列パターンには統計的な偏りがあります.シャーロック・ホームズの踊る人形は,アルファベットと人形が1対1に対応する暗号で,元の文章の統計的性質をそのまま保持していたため,すぐに解読されてしまったのです.このような統計的な偏りをなくすことが,現代暗号には最低限求められます.

 ところで,通信文の統計的性質をうまく利用したアプリケーションに「モールス信号」があります.表B-1のように頻繁に現れる文字には短い符号語を,使用頻度の低い文字には長い符号語を割り当てて,通信時間を短縮します.データ圧縮の草分けとも言えます.

 今日では,用途に応じてさまざまなデータ圧縮アルゴリズムが開発されていますが,それらはすべてモールス信号のようにデータの統計的性質をうまく利用しています.ですから,統計的性質が隠ぺいされた暗号文を圧縮することはできません.データの暗号化と圧縮を行いたいときには,かならず圧縮を先に行う必要があります.

 余談になりますが,モールス信号の"SOS"は何かの略語ではなく,だれが聞いてもすぐに緊急事態であることがわかるように,特徴的なパターン"・・・― ― ― ・・・"が選ばれたのです.

A
 ・―
N
 ―・
B
 ―・・・
O
 ― ― ―
C
 ―・―・
P
 ・― ―・
D
 ―・・
Q
 ― ―・―
E
 ・
R
 ・―・
F
 ・・―・
S
 ・・・
G
 ― ―・
T
 ―
H
 ・・・・
U
 ・・―
I
 ・・
V
 ・・・―
J
 ・― ― ― ―
W
 ・― ―
K
 ―・―
X
 ―・・―
L
 ・―・・
Y
 ―・― ―
M
 ― ―
Z
 ― ―・・

表B-1 モールス信号

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日