クルマの中の"組み込み技術"　――写真で見る最新組み込みシステム

2.写真で見る"クルマ"の中の組み込み技術

　現在，もっとも注目されている組み込み機器の一つに，自動車があります．自動車が世の中に出てきた当初は，機械的な制御がほとんどでした．電気系のものといえばヘッドライト装置や発電機などで，マイクロコントローラなどは搭載されていませんでした．

　その後，自動車の普及に伴い，交通事故による死傷者の増加，排気ガスによる大気汚染や地球温暖化といった問題が出てきました．そして，「安全性の向上」や「環境対策」という要求が自動車に突きつけられました．こうした要求に対応するため，さまざまな電子装置が自動車に搭載されるようになりました．

● クルマの頭脳「ECU」

　現在，高級車では1台に何十個ものマイクロコントローラが搭載されています．マイクロコントローラが搭載された一つの制御単位を自動車ではECU（Electronic Control Unit；電子制御ユニット）と呼びます．通常，制御対象ごとに異なるECUが使われています（例えば，ブレーキ制御用ECU，電動パワー・ステアリング制御用ECUなど）．

　ECUの数が増えていく中，それぞれの制御システムごとに閉じるのではなく，自動車全体を一つのシステムとして成り立たせるために，ECUどうしのつながりを考える必要が出てきました．そこで登場したのが，自動車の内部に構築するネットワークです．例えば，CAN（controller area network）やLIN（local interconnect network），FlexRayなどの車載ネットワーク規格が標準化されています．