クルマの中の"組み込み技術" ――写真で見る最新組み込みシステム
写真6は,トヨタ会館に展示されているトヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」の電力供給や燃料供給のしくみを示した模型です.これを見ると,走行状態によって駆動源が使い分けられていることがわかります.
写真6(a)は発進時の状態です.黄色いランプの点灯がバッテリからモータに電力を供給していることを示しています.エンジンの回転数が十分に上がっていない場合,燃費効率が落ちます.そのため,ハイブリッド車の発進時はモータのみで走行させます.
写真6(b)は通常走行時のようすです.赤いランプの点灯がエンジンへ燃料を供給していることを表しています.発電機からモータへの電力供給を示す黄色いランプも点灯しています.つまり,通常走行では,モータとエンジンを併用して車輪を駆動していることがわかります.二つの駆動源を使って燃費効率が最大になるように制御されます.
写真6(c)は,急加速時のようすです.通常走行の場合と異なり,バッテリからモータに電力が供給されていることがわかります.このとき,バッテリの出力電圧を昇圧回路によって最大500Vに引き上げてからモータに供給しています.さらに,エンジンによって車輪を駆動することで,急加速性能を向上させています.
なお,減速時には,モータによって制動をかけます.このときの制動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリに蓄えます.停止時には,エンジンもモータも停止(アイドリング・ストップ)するため,CO2を排出することもありません.
写真6 ハイブリッド車の電力供給のしくみ(トヨタ会館の展示)
トヨタ自動車の「プリウス」の模型.黄色いランプはバッテリによるモータ駆動を,赤いランプはエンジンによる走行を表している.