つながるワイヤレス通信機器の開発手法(15) ――プロトタイプを開発する

太田博之

tag: 組み込み

技術解説 2005年1月11日

1.プロトタイプ開発の基本的な考えかた

 これまで本連載では,機能を中心に回路ブロックを考えてきたため,ブロック図は図1(a)のように描いていた.しかし,今回はプロトタイプの開発であるため,デバッグを意識する必要がある.そこで,図1(b)のようなブロック記述を行うことにする.

● CPUの機能検証にはJTAGを利用

 図1(b)の中のJTAGインターフェースは,CPUに搭載されるプログラムのデバッグに用いられる.図2(a)のように,JTAGインターフェースを使ったデバッグは,CPU内部に組み込まれたデバッグ回路(オンチップ・デバッグ)とJTAGインターフェースを持ったデバッグ専用ハード ウェア(図2(a)のJTAGデバッグ・ツール)を使用することが前提となっている.専用ハードウェアは,CPUメーカまたはサード・パーティから提供される.現在では,このJTAGインターフェースを備えたデバッグ・ツールがICE(in-circuit emulator)に替わる一般的なデバッグ手段となっている.また,図1(b)の中のUARTは,プログラムのダウンロードや動作状態のモニタに使用される.UARTを使ったダウンロードやモニタのしくみは設計者が独自に開発し,プログラムに埋め込む場合が多い.

 CPUコアを含んだカスタムLSI(ASIC,FPGAなど)を使用する場合,図2(b)のようにデバッグ用の回路をカスタムLSIに組み込む必要がある.また,外部との通信はJTAGインターフェースではなくUARTを介して行う.UARTの通信フォーマットはRS-232-Cと同じなので,図2(a)のように電圧変換回路のみでパソコンと接続し,通信することができる.

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図1 プロトタイプの開発ではブロック図の描きかたが異なる
機能設計の段階では,(a)のように機能を考慮したブロック図を描く.プロトタイプの開発では,(b)のようなデバッグを考慮したブロック図が必要になる.

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図2 デバッグ回路
(a)では,図1(b)のJTAGインターフェースを介してデバッグを行う.JTAGデバッグ・ツールは,JTAGインターフェースを備えたデバッグ専用ハードウェアである.カスタムLSIのデバッグを行う場合は,(b)のような構成となる.

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