テストの本質を探る ――30年の歴史を持つ 「ソフトウェア工学」の知恵に学ぶ

伊藤昌夫

tag: 組み込み

技術解説 2004年4月24日

●「不ぐあい」と「エラー」は異なる

 一般によく混同されるいくつかのことばがあります.「不ぐあい」と「エラー(誤り)」というのもその一つです.

 エラーというのは,ソフトウェア中の誤りを指します.一方,不ぐあいはテストで見つかったソフトウェアの誤っている状態を指します(さらに,似たことばに「障害」という言いかたがある.こちらは一般に,市場あるいは客先における機能の劣化ないしは意図しないシステム停止を指すことが多い)注1

 筆者はエラーと不ぐあいを明確に区別することが望ましいと考えています.不ぐあいはすべて表に現れているものであるのに対して,エラーは必ずしもそうではありません.あるいは,単一のエラーが複数の不ぐあいを生むこともありますし,複数のエラーが不ぐあいを生じさせなくなることもあります(エラーどうしが,たまたま悪影響を相殺したような場合).

 さて,このように考えたとき,上記のような累積不ぐあい数は,不ぐあいではなくエラーのほうが正しく(例えば数学的に)モデル化することができます.エラーは均一に分布すると想定することができますが,不ぐあいは,先に述べた理由によって,必ずしも均一ではないからです.

 注1;JIS X 0014(1990)では次のような定義になっている. 誤り(error):計算,観測もしくは測定された値または状態と,真の,指定されたもしくは理論的に正しい値または状態との間の相違.障害(fault):要求された機能を遂行する機能単位の能力の,縮退または喪失を引き起こす,異常な状態. 本文に書いたように,不ぐあいにもこの障害と同じ定義を与えている.違いは,それがテストで見つかったものか,市場で見つかったものかである.いずれにしろ,不ぐあい/障害はある動作しているプログラムの状態を表している.「誤り」とは区別して用いなくてはならない.ちなみに,「バグ」ということばは,この誤りと不ぐあい/障害の両方の意味で用いられることが多いようである.明確に区分するために,本稿ではバグということばを使用しないようにしている.

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