みんながシステム設計を気にする理由 ――システムLSI開発の視点から
●続々と出てくる現場の疑問
一般のハードウェア技術者にとって,C/C++でハードウェアを設計すると言われてもピンとこないでしょう.まず,どうやってハードウェアを記述したらよいのか,イメージがつかめません.
以前,C/C++によるハードウェア設計について,筆者が同じ会社のハードウェア設計者(LSI設計者)と議論したときに上がった声を,以下に紹介します(図5).
- 全般的な効率向上の効果が見えない
- HDLで設計するのとどこが違うのか?
- どこまで細かく回路を表現できるのか?
- フォーマル・ベリフィケーションは行えるのか?
- どのツールを使ったらよいのか?
- 本当にシミュレーションは高速か?
- 使いこなすまでに必要な期間はどのくらいか?
- EDA業界に踊らされているだけではないのか?
- 仕様記述と言うが,本当に仕様を書けるのか?
- ソフトウェア処理の部分とハードウェア処理の部分をどうやって協調動作させるのか?
- 目標性能を達成できることを,どのように検証するのか?
- カウンタはC言語でどう書くのか?
- ビヘイビア合成なんて,使いものにならないのに....
- シミュレーションが速いだけなのでは?
〔図5〕続々と出てくる現場の疑問
ハードウェア設計者にとっては,C言語で設計することのメリットがわかりにくい.