小型組み込み機器向けLinux ──MMUを持たないマイクロプロセッサで動作するしくみ
uClinuxの開発環境
●開発ツール
uClinuxシステム用のソフトウェア開発には,通常GNUコンパイラ・ツール群で構成されるクロス・コンパイラ・ツール群を用います.x86アーキテクチャ用のgcc(GNU C Compiler)上に構築するソフトウェアは,しばしばそのままuClinux用ソフトウェアの開発に利用できます.
uClinuxシステムの開発過程で使用されるデバッグ方法は3通りあります.GNUデバッガ(gdb)は,すべてのプラットホームに共通のデバッグ・インターフェースです.ターゲット・プロセッサのuClinuxカーネルへのデバッグ・インターフェースは,ターゲット・プロセッサのデバッグ・サポートによります.ターゲット・プロセッサがJTAGまたはMotorola社のBDM用のハードウェアを備えている場合,カーネルをデバッグするため,gdbをターゲットに接続することができます.もしもプロセッサがこうしたハードウェアをサポートしていない場合,カーネルにgdbスタブを統合することで,シリアル・ポートまたはEthernet経由でのgdbとスタブの通信が可能になります.
●Cライブラリ・ファンクション ― uClibc
uClibcとは,デスクトップ・パソコンやサーバ向けLinuxディストリビューションとしてリリースされているCライブラリの縮小版です.このライブラリは,UNIXライクのCプログラムが使用するほとんどの関数を提供できるように設計されています.
アプリケーションがuClibcに含まれていない機能を必要とする場合,この新たな機能をuClibcに追加するか,個別のライブラリとしてリンクするか,もしくはアプリケーション本体に追加する必要があります.