フルディジタル・スピーカや超小型部品などに注目 ―― CEATEC JAPAN 2012
電子・情報・通信技術に関する国内最大の展示会「CEATEC JAPAN(シーテック ジャパン)2012」が2012年10月2日~6日幕張メッセ(千葉県美浜区)で開催された(写真1).本レポートでは,将来のシステム開発に役立つ最先端部品の展示を中心に紹介する.
●フルディジタル・スピーカに高い関心
民生用部品では,フルディジタルのオーディオ・スピーカが来場者の注目を集めていた.クラリオンとホシデンがフルディジタルのオーディオ・スピーカをそれぞれ展示し,音楽再生の実演を行っていた.
ハイファイ・オーディオ・システムでは,スピーカの入力はこれまでアナログ信号だった.アナログ・アンプの出力であるアナログ信号,ディジタル-アナログ変換器の出力であるアナログ信号,ディジタル・アンプの出力をフィルタで変換した疑似アナログ信号,などがスピーカ入力だった.
これに対してフルディジタル・スピーカでは,ディジタル・アンプのディジタル出力に対して独自のディジタル信号処理を適用する.オーバサンプリングとディジタル変調によって6チャネルのディジタル信号に変換し,スピーカのコイルを駆動する.従来のスピーカ・システムに比べると駆動電圧が低く,消費電力も低い,といった特徴を備える.
このフルディジタル・スピーカ技術を開発してきたのが日本のミックスド・シグナル回路設計会社であるTrigence Semiconductorである.同社の開発技術「Dnote」をクラリオンとホシデンが採用し,オーディオ・スピーカの完成品を展示した.
クラリオンが展示したのは,太陽光による充電機能を内蔵した携帯型のフルディジタル・スピーカ(写真2,写真3),住宅の天井に取り付けるシーリング型のフルディジタル・スピーカ(写真4,写真5),車載用ナビゲーション機器向けのフルディジタル・スピーカ(写真6,写真7)である.