フルディジタル・スピーカや超小型部品などに注目 ―― CEATEC JAPAN 2012
●圧電素子で液晶タッチパネルにクリック感を
スマートフォンやタブレット端末などに普及している液晶タッチパネルには,ボタンや選択アイコンなどに相当する部分を押しても,実際のボタンとは違ってクリック感がない.押したことを機器が認識したかどうかが分からず,操作にまごつくこともある.
そこで京セラが開発したのが,クリック感のある液晶タッチパネル・ディスプレイである(写真11).来場者が液晶タッチパネルを体験できるコーナを2個所に設けていたが,いずれのコーナも順番待ちの列が絶えないほど盛況だった.
試作したタッチパネルは,ディスプレイで選択ボタンに相当するエリアだけが,指でタッチしたときにクリックする感覚を得る.タッチパネルに圧電素子を組み付け,タッチする表面を振動させることで特定の部位だけにクリック感を与えた(写真12).
筆者も実際に体験してみた.クリック感が軽く,ボタンに比べると明確ではないものの,従来の押したかどうかが不明瞭なタッチパネルに比べると,操作感はずっと良好だった.
●厚さが7mmのオールゴム製薄型スピーカを展示
電子部品全般では,薄型化や超小型化などを追求した部品が興味深かった.薄型のスピーカ,超小型のインダクタやコンデンサなどである.
東海ゴム工業は,厚さが7mmと薄型のスピーカを開発し,参考展示していた(写真13).伸縮が自在で導電性を備えるゴム(電極用ゴム)を九州大学と共同で開発し,スピーカに応用した.圧電素子を利用した従来の薄型スピーカは低周波領域の応答性が低いという弱点があったが,今回開発したゴム製スピーカは低周波領域の応答性に優れるという.
写真13 厚さが7mmのゴム製薄型スピーカ
液晶モニタの斜め下,左右に配置した長方形のパネルがスピーカである.手で触ると軟らかい
開発したスピーカは板状の絶縁ゴムを2枚の電極ゴムで挟んだ構造となっている(写真14).電極ゴムに電圧を加えることで静電気力が生じ,全体が伸びる.電圧の印加をやめるとゴムの復元力によって全体が元に戻る.この伸び縮みを振動に変化させて音声を再生する.