スパコンからリモコンまで,最先端技術開発の成果が一堂に ―― CEATEC JAPAN 2011

福田 昭

 電子・情報・通信技術に関する国内最大の展示会「CEATEC JAPAN(シーテック ジャパン) 2011」が2011年10月4日~8日に千葉県の幕張メッセにて開催された(写真1).本レポートでは,将来のシステム開発に役立つ技術開発成果や最先端部品などの展示を紹介する.

写真1 CEATEC JAPAN 2011の会場風景


●世界最速のスパコン「京」とその要素技術に注目

 技術開発成果の展示として来場者の注目を浴びていたのは,理化学研究所富士通が共同開発している次世代スーパコンピュータ(スパコン)「京(けい)」の実物展示だろう.本体(写真2)とシステムボード(写真3)が富士通のブースに出品されていた.

写真2 次世代スーパコンピュータ「京」の本体


写真3 次世代スーパコンピュータ「京」のシステム・ボード


 「」は2012年の供用開始を目指して開発・調整中であり,2011年6月に発表されたスパコンの演算性能上位500システムのランキング「TOP500」で首位を獲得した.この世界最速を記録したスパコンを実際に目にしようという来場者が,展示ブースには詰めかけていた.

 出品された本体はシステム・ボードや電源ユニット,磁気ディスクなどで構成されている.本体前面には透明なカバー板が取り付けられており,これらのユニットがどのように配置されているかが分かるように色で区分けされていた.

 システム・ボード1枚には,4個のCPUチップと4個のインターコネクト・コントローラ(ICC)・チップ,メモリ・モジュール,水冷モジュール(CPUとICCの放熱用)が高密度に詰め込まれている.消費電力当たりの性能は2.2GFLOPS/Wと高い.従来に比べて「性能は3倍,消費電力は2分の1」と展示ブースのビデオでは説明していた.

 またCEATEC JAPANの会場には,「京」の要素技術開発に貢献した企業の展示もいくつか散見された.

 京セラは,CPUチップ「SPARC64 Ⅷfx」とインターコネクト・コントローラ(ICC)・チップのセラミック・パッケージ技術を開発したことをアピールしていた.ブースには,セラミック・パッケージの実物が出品されていたが,あいにく写真撮影は禁止されていた.パッケージの種別はフリップチップBGAである.パッケージの材料は京セラが「HITCE」と呼ぶ熱膨張係数が高い材料であり,実装基板と熱膨張係数が近い.

 ニチコンは,「京」のシステム・ボードに採用されたチップ形アルミ電解コンデンサ「UUJ1J22INQ1MS」(定格63V,静電容量220μF)を実物出品していた(写真4).「京」システム全体では,10万個の「UUJ1J22INQ1MS」が搭載されている.

写真4 「京」のシステム・ボードに採用されたチップ形アルミ電解コンデンサ


●リモコンを折り曲げて操作

 家電向け技術では,リモコンの展示が興味深かった.村田製作所が,長方形の板を折り曲げたり,ねじったりして操作するリモコンを試作し,デモンストレーションしていた(写真5).板の両面に特殊な圧電性高分子ポリエステルフィルムを貼り付けてある.片面は曲げの検知用フィルム,もう片面はねじりの検知用フィルムである.

写真5 折り曲げたり,ねじったりして操作するリモコン


 長方形の両端は持ち手となっており,持ち手部分の片方は2次電池と電源回路,もう片方は無線送信回路とセンサ回路が内蔵してある.検知用フィルムは透明であり,板の中央層には薄膜太陽電池フィルムが収納してあるので,外部電源は要らない.展示ブースでは,実際に液晶テレビを来場者にリモコンで操作してもらっていた.

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