スマートフォンでおなじみの静電容量式タッチ・センサを組み込みシステムに実装 ―― マイコンの周辺機能を利用すれば,追加コストは不要
●設定ユーティリティ・ソフトウェアを使ってタッチ機能を開発
この開発キットを使用してタッチ機能の評価や開発を行う際には,上述の設定ユーティリティ・ソフトウェアを使用します.このソフトウェアをインストールすると,USBシリアル・ポート・ドライバが自動的にインストールされます.
以下では,このソフトウェアを使った開発の手順を説明します.
1) Startupタブ
設定ユーティリティ・ソフトウェアを起動します.Startupタブ内のDrawingウィンドウにより,センサに触れた指の軌跡を表示させてシステムの動作を確認できます.図A-1では,2本の指をセンサ上で同時に動かしたときのマルチタッチ動作の軌跡を示しています.下段のTransactionsウィンドウは,設定ユーティリティ・ソフトウェアと開発ボードの間の通信履歴を表示します.
2) Self Capacitanceタブ
Self Capacitance(自己容量)とは,システムが計測した個々のX軸センサおよびY軸センサ電極の静電容量を意味します.
最下段のGraphicsウィンドウは,各センサ電極の自己容量の計測値を棒グラフで表示します.図A-2の例では,21個の電極(X軸に12個,Y軸に9個)の自己容量値を表示しています(X軸センサを左側,Y軸センサを右側に整列).各棒グラフの下には,その電極の計測値をリアルタイムに表示します.上段の赤い数値は指が触れていない状態を基準とする相対値を示し,下段の青い数値は絶対値を示します.
3) Mutual Capacitanceタブ
相互容量(mutual capacitance)とは,X軸とY軸のセンサ電極が形成するXYマトリックスの各ノードの静電容量を意味します.
最下段のGraphicsウィンドウは,センサ上の各ノードの相互容量の計測値を表示します.図A-3の例では,12個のX軸電極と9個のY軸電極による12列×9行のノード・マトリックスを表示しています.各値は各ノードの計測値です.上段の赤い数値は指が触れていない状態を基準とする相対値を示し,下段の青い数値は絶対値を示します.