曲げやねじり,締め付けなどの情報をリアルタイムに取得できるセンサを展示 ―― Sensor Expo Japan 2011

北村 俊之

 2011年10月12日~14日,センサ・コントロールとその応用技術,機器,システム,ネットワークに関する専門の展示会「Sensor Expo Japan 2011」が,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催された(写真1).主催はフジサンケイ ビジネスアイ.

 

写真1 会場受付のようす

 

 会場では,産学連携を促進する目的で研究機関の試作品や成果を紹介する「次世代センサフォーラム」展示コーナや,最新技術を紹介する次世代センサ総合シンポジウム,各種専門技術セミナなどが企画されていた.併催は,「センサネットワーク+位置情報システム EXPO 2011」.さらに,「測定計測展(旧 光ナノフェア)」,「TEST 2011(第11回総合試験機器展)」,「国際セラミックス総合展 2011」も同時開催されていた.

 

●小型3軸触覚センサで曲げやねじりを画面に再現

 タッチエンスは,高感度・小型化を実現した3軸触覚センサ「ショッカクチップ」を展示した(写真2).本センサは,MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を活用した微細加工によって製造されており,一つのセンサで3軸方向の力を同時に計測できる.小型・薄型であるため,平面だけでなく曲面にも実装可能.さらにシリコン・チップを包んでいる外装の材質を変えることで,接触時の柔らかさとセンサ感度を変更できる.

 

写真2 タッチエンスの「ショッカクチップ」

 

 展示ブースでは,本センサを組み込んだゴム・パッドを曲げたりねじったりすることで,モニタ上のキャラクタが前後左右に移動するデモンストレーションを行っていた.用途としては,ロボット・ハンドを用いた動作,ゲーム機やスマートフォンのヒューマン・マシン・インターフェース,ジョギング・シューズやスポーツ機器への組み込み,タイヤと地面の間の摩擦力の測定などを想定しているという.

 

●非接触で給電しながら同時に信号を伝送

 ビー・アンド・プラス(旧 日本バルーフ)は,電磁結合方式により,非接触で電源供給と信号伝送を行う電源&信号伝送システムを展示した(写真3).固定側から可動側に非接触で給電を行うと共に,可動側と固定側の間で信号を伝送できる.可動部の配線にまつわるトラブルを解消し,作業工数を削減できるという.

 

写真3 ビー・アンド・プラスの非接触電源&信号伝送システム

 

 本システムは,「出力部(ベース部)」(固定側)と「伝送部(リモート部)」(可動側)で構成される.「出力部」は外部電源および制御機器に接続する.可動側の伝送部に非接触で給電すると共に,伝送部との信号伝送および外部機器への入出力を行う.「伝送部」では出力部から給電を受け,接続するセンサや駆動ユニットに電源を供給する.そして同時に,出力部との間で信号の送受信を行う.ターン・テーブルのワーク着座確認や治具・パレットへの給電と信号伝送,AGV(無人搬送車)への非接触給電などに利用できる.

 

●パソコンに接続してデータ処理を行う超音波画像測定装置を展示

 日本電波工業は,グローバルヘルスの超音波画像測定装置「みるキューブ」を展示した(写真4).超音波画像測定装置とは,プローブ(超音波センサ)から超音波を発信して,身体内から跳ね返ってきた超音波をプローブで受信し,受信データを基に身体内の画像をリアルタイム動画として映し出すシステムである.プローブ部分を同社が開発した.

 

写真4 グローバルヘルスの「みるキューブ」

 

 本装置は,USBケーブルによりパソコンに接続して利用する.パソコン上ではデータ管理や画像処理などを行える.外形寸法は250mm×90mm×205mm,重さは約1.7kg.専用のデータ管理ソフトウェアにより,撮影,計測からデータ管理までを行える.プローブ部分は,6MHz,64素子のリニア型で,プローブ・ケーブル長は2m.展示ブースでは2次元プローブによる皮下脂肪厚,筋厚測定のデモンストレーションを行っていた.

 これとは別に同社では3次元プローブも提供しており,こちらを利用すると妊娠中の胎児の様子(エコー検査)などを3次元画像で確認できるという.

 

●立体にかかる締め付け圧をリアルタイムに測定して3D表示

 タカノは,立体にかかる締め付け圧をリアルタイムに測定し,3次元画像として表示するシステム「コンプレス-3D」を展示した(写真5).本システムは,アンダーウェア(下着)などの締め付け圧を評価する目的で開発した.高感度のセンサ・モジュールをマトリクス(行列)の交点に形成し,マネキンなどの形状に合わせて配線設計を行う.素材の伸縮にも対応している.3次元モデルへの圧力マッピングおよび表示が可能となっており,あらかじめ定義した部位ごとの統計値も表示できる.センサ部分の厚みは1.8mm,センサ外径はφ8mm,動作温度は常温,圧力範囲は0~10kPa.

 現在は,動きがない状態での締め付け圧の測定に用途が限られているが,将来的には,動きを持たせたマネキンなどで,どの部分にどのような締め付け圧がかかるかを測定できるようにしたいという.

 

写真5 タカノの「コンプレス-3D」

 

●1000倍高感度のCCDで昼夜監視から宇宙まで撮影可能

 フローベルは,非圧縮SSDレコーダを搭載したハイビジョンEM-CCDカメラ「EM-120HR」を展示した(写真6).本ハイビジョン・カメラは従来のCCDの1000倍の高感度を持ち,夜間の撮影に威力を発揮するという.記録時間は,128Gバイトの非圧縮SSDレコーダの場合に約12分,512Gバイトでは約50分となる.月明かり程度でカラー映像を撮影でき,港湾や交通取り締まりなどの夜間監視に適している.また,1台でカラー映像と近赤外映像の両方を撮影できる.

 

写真6 フローベルの「EM-120HR」

 

 映像記録規格は1920×1080i,フレーム周波数は59.94Hz.映像出力信号は,HD-SDI本線用を2出力,VF用を2出力用意している.イメージ・センサは2/3型EM-CCDで,有効画素数は約120万画素,最低被写体照度は0.02Lxとなっている.

 

きたむら・としゆき

 

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