DDRメモリの製品動向と基板設計のポイントを解説 ―― テクトロニクス・イノベーション・フォーラム2010
計測機器の大手ベンダである日本テクトロニクスは,2010年10月26日,高速ディジタル・インターフェース技術と測定技術に関する講演会/展示会「テクトロニクス・イノベーション・フォーラム2010」を,東京ステーションコンファレンス(東京都千代田区)で開催した(写真1).
日本テクトロニクスは毎年秋に,顧客向けの技術講演会/展示会を東京ステーションコンファレンスで開催してきた.2008年は10月15日に「テクトロニクス・テクノロジ・カンファレンス2008」と銘打って開催している(レポート記事はこちら).2009年は名称を「テクトロニクス・イノベーション・フォーラム2009」と変更し,開催期間が10月27日~30日の4日間に拡大された.今年は再び1日の開催に期間が短縮されたものの,最大で7本の講演セッションが同時に設けられるという,非常に密度の高い講演会となっている.
講演セッション数は合計で37本もあり,すべての講演を聴講することは不可能である.そこで本稿では,筆者が参加した講演に絞ってトピックを紹介する.
●DRAMの製品動向と設計課題を応用分野ごとに解説
最初に紹介するのは,エルピーダメモリの波多野 進氏による「DDRメモリの動向と設計上のポイント」と題した講演である.波多野氏は始めに,DRAMの応用分野別製品動向を解説した(写真2).サーバおよびパソコン分野ではDDR3 SDRAMが主流である.実装形態はDIMMであり,速度は1066タイプから1333タイプまでが使われている.ハイエンドのパソコン向けには1666タイプの認定が進められているところだという.また,サーバ向けには電源電圧を1.35Vに下げて(DDR3の通常品は電源電圧1.5V)消費電流を低減したDDR3Lタイプが使われている.
今後の見通しでは,2スロットが標準のデスクトップ・パソコンよりも,1スロットが標準のノート・パソコンのほうが技術的には高速信号伝送の基板設計が容易であることから,ノート・パソコンがDDR3 SDRAMの高速化をけん引するとの予測を述べていた.
ディジタル家電分野では据え置き機器がDDR2 SDRAMを,モバイル機器がLPDDR SDRAMを主に搭載している.据え置き機器はパソコン用SDRAMと同じ製品を使う傾向が強い.
携帯電話端末分野では,アプリケーション・プロセッサ,カメラ・モジュール,ベースバンド・プロセッサがそれぞれDRAMを外付けする.いずれもLPSDRあるいはLPDDR1といった最新ではない技術のモバイルDRAMを搭載している(写真3).価格の安さを重視する.ただしモバイルDRAMの需要そのものは拡大しており,エルピーダメモリが力を入れている分野の一つだという(写真4).
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