データ・ロガーや測定器もデザインで勝負 ―― GOOD DESIGN EXPO 2010
2010年8月27日~29日,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて,「デザインは私たちの生活の営みを豊かにする」と題したイベント「GOOD DESIGN EXPO 2010」が開催された(写真1).主催は日本産業デザイン振興会.

写真1 受付の様子
本展示会は,「グッドデザイン賞」の2次審査会終了後の会場を公開して行うデザイン・イベントである.グッドデザイン賞は,日本産業デザイン振興会が主催する総合的なデザイン評価・推奨制度であり,1957年に旧通商産業省によって設立された「グッドデザイン商品選定制度」(通商Gマーク制度)を継承している.単にデザインの美しさを競うのではなく,産業の発展とくらしの質を高めるデザインを,身の回りのさまざまな分野から見出し,広く伝えることを目的としている.毎年,応募された対象の中から優れたデザインを選ぶ.2009年度は2952件の審査対象に対して,1034件(受賞企業数591社)がグッドデザイン賞を受賞している.
会場には2000点以上に及ぶさまざまなデザイン製品(デザイン・コンセプト)が並び,デザイナを交えたイベントなども開催された.なお,2010年度グッドデザイン賞の今後の流れとしては,2010年9月29日に受賞結果の発表が,11月10日に表彰式およびグッドデザイン大賞の発表が予定されている.
●「グッドデザイン賞」そのものをグッドにデザイン,iPhoneでARイベントも
開催初日の午後5時より,日本産業デザイン振興会 理事長の飯塚 和憲氏,2010年度グッドデザイン賞 審査委員長の深澤 直人氏,同審査副委員長の佐藤 卓氏によるあいさつが行われた.審査委員長である深澤氏は,グッドデザイン賞の審査について簡単に説明した(写真2).豊かさの定義や,みんなが良いと感じるものに賞を与えること,新しくなければ良いデザインではないという誤解,人の意識の変化と社会の兆しなどの点に留意しながら審査を行っているという.特に人の意識の変化と社会の兆しについて,「個人の好みに合わせたもの作りが,多くのむだを生み出しているという事実を人々が感じ始めている」(深澤氏)としたうえで,デザイン力がより社会や生活に向けられるべきであり,デザインがむやみに消費者の購買意欲をそそる仕掛けとして使われてはならないことを強調した.

写真2 2010年度グッドデザイン賞 審査委員長の深澤 直人氏
今回の「GOOD DESIGN EXPO 2010」という展示会そのものをコーディネートした佐藤 卓氏は,「グッドデザイン賞」という取り組みそのものをグッドデザインにというコンセプトの下,会場内のレイアウト,展示方法などを極力機能的かつシンプルにまとめ,来場者が展示会の過剰な装飾に惑わされることなく,展示品のデザインを楽しんで評価できるように心がけたと語った(写真3).

写真3 2010年度グッドデザイン賞 審査副委員長の佐藤 卓氏
開催初日の8月27日は,午後6時スタートという遅い時間にもかかわらず多くの来場者が詰めかけ,それぞれ興味のある製品を実際に手にとって評価していた.またメイン・ステージでは,香港で2010年11月29日~12月4日に開催される「Business of Design Week 2010」のパートナ国に日本が選ばれたことを紹介していた.会場内では,クウジットとのコラボレーションによるAR(Augmented Reality;拡張現実)イベントなども実施された.iPhoneユーザはApp Storeから同社が提供するiPhoneアプリ「GnG(GET and GO)」をダウンロードすることで,会場内を飛ぶ飛行船や,スタッフが着用するTシャツの背中に付いているARマーカを読み取り,表示されるコンテンツを楽しんだり,くじに挑戦できる企画となっている.
tag: GOOD DESIGN EXPO, モバイル, 市場動向, 計測