スマホでも音声会議システムでも,調和する「豊かさ」こそがデザインである ―― GOOD DESIGN EXPO 2011

北村 俊之

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2011年9月 2日

 2011年8月26日~28日,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて,2011年度グッドデザイン賞の2次審査会場を公開して行うデザイン・イベント「GOOD DESIGN EXPO 2011」が開催された(写真1).主催は日本デザイン振興会.身近な生活用品から乗用車や建築まで,暮らしと社会をとりまくデザイン製品やコンセプト2,000点以上が展示された.

 

写真1 会場受付の様子


 グッドデザイン賞は,日本デザイン振興会が主催する,総合的なデザインの推奨制度である.デザインの対象は,工業製品から建築物,各種サービスやソフトウェア,地域づくりなどのコミュニケーション,ビジネス・モデルや研究開発など,人間によって生み出されるあらゆるものや活動が対象となる.毎年1,000件あまりがグッドデザイン賞を受賞し,さらに何点かにグッドデザイン特別賞が贈られている.

 2011年度グッドデザイン賞 審査委員長の深澤 直人氏は,今回は「豊かさ」と「適正さ」に留意して審査を行ったと述べた(写真2).デザインは生活を豊かにする知恵とそれを具体化する行為であるが,「豊かさ」とは経済的な意味だけではないとする.「豊かさ」とは,人とモノ・コト,およびそれを取り巻く環境のそれぞれ相互の関係が適正で調和することを指している.「豊かさ」を定義する場合は「適正」であるか否かが問われ,そのモノ・コトが適正であったかどうかは長い年月や時間,人々の経験によって評価される.その結果,適正なものは残り,適正でないものは淘汰され,消えていくと強調した.

 

写真2 2011年度グッドデザイン賞 審査委員長の深澤 直人氏


 展示会場内には,デザイナが来場者と直接コミュニケーションする企画展示ブース「デザインコミュニケーション」や,2011年3月に発生した東日本大震災の復興支援の意味合いを込めた,東北・茨城エリアのデザインを紹介する特設ブース「Area Aid Design Project」,デザイン・グッズが購入できるショップなどが設けられ,楽しみながら最新のデザインに触れられるイベントとなっていた.

●携帯電話に国産間伐材(ヒノキ)を使用

 NTTドコモは,モア・トゥリーズオリンパスシャープと共同開発した,国産間伐材(ヒノキ)を使用した携帯電話機「TOUCH WOOD」を展示した(写真3).本機に利用されている木材は,森林保全団体であるモア・トゥリーズが森づくりを行っている四万十原産(more treesの森)のヒノキの間伐材である.オリンパスの3次元圧縮成形加工技術により,木材でありながら耐久性,耐水性,防虫性,防カビ性を備える.木目と色合いは1台ごとに異なる.無塗装のため,木の質感やぬくもりはそのままに,圧縮加工の工程で生まれる独特のツヤとヒノキの香りを楽しめる.

 

写真3 NTTドコモの「TOUCH WOOD」

 

●防水対応のスマートフォンにWindows Phone 7.5を搭載

  KDDI沖縄セルラー電話は,米国Microsoft社のスマートフォン用OS「Windows Phone 7.5」を搭載した,富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製のスマートフォン「Windows Phone IS12T」を展示した(写真4).本機は,防水・防塵に対応し,1320万画素カメラの搭載,内蔵メモリ32Gバイトなど高機能でありながら,コンパクトなサイズ(約118mm×59mm×10.6mm,約113g)を特徴としている.Microsoft Office文書を閲覧・編集でき,Microsoft社が運営する無料のクラウド・サービス「Windows Live SkyDrive」を利用したデータの保管,および共有も可能.

 

写真4 KDDIの「Windows Phone IS12T」


 ゲームや音楽配信などのエンターテインメント機能を標準装備している.Microsoft社より無償提供されている音楽管理ソフトウェア「Zune Software」をWindowsパソコンにインストールしておけば,パソコン上で管理している音楽データを,microUSBケーブルで本機に同期できる.アプリやゲームは「マーケットプレース」からダウンロードでき,「Xbox LIVE」によりゲームの最新情報などをチェックすることが可能.

●学習センサ付きリモコン端末でiPhone/iPadから自宅の家電を制御

 グラモは,外出先でiPhone/iPadから自宅の家電機器をコントロールできるネットワーク型リモコン端末「iRemocon」を展示した(写真5).本端末は広帯域赤外線学習センサを備えており,あらかじめ家電のリモコン信号を学習させておくことによって,自宅や外出先からiPhone/iPadでさまざまな家電をコントロールできる.赤外線の送信には広角で高出力の赤外線LEDを使用しており,据え置き型であっても部屋のさまざまな場所に設置した家電機器のコントロールが可能.赤外線が届かない場合は,オプションで最大2個まで増設できるLEDケーブルを用意している.

 

写真5 グラモの「iRemocon」


 リモコン画面は,iRemoconのWebサイトからアクセスできるWebアプリケーション・ソフトウェア「UIデザイナー」から部品をドラッグ&ドロップして作成する.対応機種は,iPhone 4,iPhone 3GS,iPhone 3G,iPod touch,iPad,iPad2.

●設定簡単,40人程度の会議に使用できる遠隔会議用マイク・スピーカを展示

 NTTアドバンステクノロジは,音声会議(遠隔会議)用のマイク・スピーカ「RealTalk R7」を展示した(写真6).本マイク・スピーカはエコー・キャンセラとノイズ・キャンセラを搭載している.電話機の受話器を外して本装置の底部にセットして使用する.四つのエリアに分けて集音するので,例えばプロジェクタの設置してあるエリアの集音機能をOFFにすることにより,雑音を抑えられる.

 

写真6 NTTアドバンステクノロジの「RealTalk R7」


 固定電話だけでなく,携帯電話ともイヤホンマイク端子(または外部接続端子)経由で接続できる.また,USB接続でパソコンのWeb会議とも接続できる.本装置を最大6台カスケード接続することで,30~40人程度の会議にも対応可能.外形寸法は約201mm×201mm×140mm,重さは約850g.

●デュアルモード簡易無線機をグローブや片手でも操作可能に

 バーテックス スタンダードは,ディジタル/アナログ・デュアルモードの携帯型簡易無線機「VXD450U」を展示した(写真7).液晶ディスプレイを採用し,漢字を含む全角6文字の表示が可能.独立したチャネル切り替えスイッチや片手操作を考慮したキー・レイアウトなど,使いやすさを追求したという.400MHz帯の簡易無線(免許局)の規格に対応し,ディジタル用周波数65チャネルとアナログ用周波数35チャネルの計100チャネルを利用できる.チャネル切り替えは,独立したロータリ・スイッチで行う.

 

写真7 バーテックス スタンダードの「VXD450U」


 専用の音量調整ツマミは7度の傾きを持たせてあり,グローブを付けた手でも容易に操作できる.オプションのGPSマイクを接続することにより,GPS位置情報を取得することが可能(ディジタル・モードのみ).建設・工事,屋外の警備など,粉塵の多い場所,および雨天の屋外作業など,過酷な環境でも使用できるIP67規格に対応する.音声メモ機能を搭載しており,残したい通話を録音することもできる(ディジタル・モードのみ).


きたむら・としゆき

 

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