振動や温泉,室内光など,未利用のエネルギーを電力に変換する技術が続出 ―― TECHNO-FRONTIER 2010

福田 昭

tag: 電子回路

レポート 2010年7月26日

●無線通信機能を内蔵した熱電発電モジュール

 このほか,KELK(ケルク:2008年7月に「小松エレクトロニクス」から社名変更)とドイツのMicropelt社がそれぞれ,ペルチェ素子を使う熱電発電モジュールを展示していた.

 KELKが展示した熱電発電モジュールは外形寸法が50mm×50mm×4.2mm,重量が47g.高温側電極が280℃,低温側電極が30℃のときに最大で24Wの電力を出力する(写真17).展示ブースでは,熱電発電モジュールに来場者が手のひらを当てると体温の熱によって起電力が発生してファンが回り出すというデモンストレーションを実施していた(写真18).

[写真17] 熱電発電モジュールの説明パネル

[写真18] 熱電発電モジュール(手前の白い板)に手のひらを当ててファンを回すデモンストレーション

 Micropelt社(国内代理店はCP&Cジャパンパートナーズ)は,ペルチェ素子とマイコン,2.5GHzのRFトランシーバを搭載した熱電発電モジュール「TE-Power NODE」を展示した(写真19).ワイヤレス・センサを駆動するために十分な温度差があるかどうかを,検査するモジュールである.

[写真19] ペルチェ素子とマイコン,2.5GHzのRFトランシーバを搭載した熱電発電モジュール「TE-Power NODE」
手前のUSBドングルは無線通信用レシーバ.パソコンに取り付ける.

 TE-Power NODEが搭載したマイコンは米国Texas Instruments社(TI社)の16ビットマイコン「MSP430」,RFトランシーバICはTI社の「CC2500」である.無線通信の相手側はUSBレシーバになる.USBレシーバを取り付けたパソコンに専用のアプリケーション・ソフトウェアをインストールすることで,TE-Power NODEの出力をパソコンに表示できる.

 TE-Power NODEの外形寸法は30mm×63mm×33.6mm,重量は49g.出力電力(周囲温度25℃のとき)は高温側が50℃のとき0.7mW,80℃のとき3.8mW,100℃のとき19.5mWである.高温側の最大動作温度は105℃.

●室内照明を利用して発電する

 室内照明の光エネルギーを電力に変換するには,色素増感型太陽電池やアモルファスSi太陽電池などを使う.ロームは,室内照明を利用して発電する色素増感型太陽電池の応用製品を試作し,展示していた(写真20写真21).また日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は,アモルファスSi太陽電池と蓄電素子,マイコン,無線通信トランシーバを内蔵したモジュールを出品していた(写真22).アモルファスSi太陽電池は三洋電機製,蓄電素子と周辺回路は米国Cymbet社製,マイコンはTIのMSP430,無線通信トランシーバはTIのCC2500である.

[写真20] 色素増感型太陽電池の説明パネル

[写真21] 色素増感型太陽電池の応用製品(試作品)

[写真22] アモルファスSi太陽電池パネルと蓄電素子,無線通信機能を搭載したモジュール

 

ふくだ・あきら
フリーランステクノロジーライター

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