家庭用風力発電機やiPhone用ワイヤレス充電器などに注目集まる ―― ENEX 2011レポート
2011年2月8~10日,低炭素社会を実現する技術や製品などの展示会「ENEX 2011 - 第35回地球環境とエネルギーの調和展」が東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催された(写真1).ENEX 2011が扱う展示内容は幅広い.代替エネルギー技術や省エネルギー技術などはもちろんのこと,パワー・デバイス技術,ワイヤレス給電技術,エネルギー・ハーベスティング技術などにおよぶ.本レポートでは展示内容から,注目のトピックを紹介する.
●住宅/学校用の風力発電システムを披露
再生可能エネルギー関連では,風力発電システムの展示が来場者の注目を集めていた.小型風力発電システムの開発企業であるゼファーが,一般家庭(一戸建て住宅)/学校用の小型風力発電システム「Planet Home(プラネットホーム)」を展示した(写真2,写真3).
Planet Homeは系統連携機能を備えており,発電した電力を電力会社に買い取ってもらえる.もちろん,発電した電力を家庭や学校で利用することもできる.年間発電量は平均風速が秒速2mの地域で53 kWh,秒速5mの地域で1,261 kWhが目安である.
Planet Homeは風力発電機のほか,パワー・コンディショナ(直流250Vの発電電力を交流電力に変換して家庭用分電盤に供給する装置),システム・エナジャイザ(風力発電機の動作および制御用電力を供給する装置)などで構成される.設置方法は以下の通り.一戸建て住宅の場合は空き地に高さが10m~15mのコンクリート柱を建て,その上に風力発電機を載せる.学校の場合は建物の屋上に重りを置き,3点支持で高さが3m前後の塔を建て,その上に風力発電機を搭載する.
ゼファーはこれまで法人向けを中心に,小型風力発電システムを開発・販売してきた実績を有する.出力が直流250Vの系統連携用システム,出力が直流48Vの独立電源用システム,出力が直流24Vの独立電源用システムがある.
●ボイラの蒸気を発電に利用
蒸気エネルギーの活用も目を引いた.神戸製鋼所の子会社である圧縮機開発企業コベルコ・コンプレッサは,小型の蒸気発電装置「SteamStar(スチームスター)」を展示した(写真4).
産業廃棄物処理場や自動車工場,病院などでは,高圧の蒸気をボイラで発生させている.高圧の蒸気は,減圧弁を介して低圧の蒸気に変換して利用したり,あるいはそのまま排気として捨てたりする.この捨てられていた蒸気圧を利用して発電するのが,SteamStarである.0.6Mパスカル~0.8Mパスカルの高圧蒸気を取り入れ,0Mパスカル~0.2Mパスカルの低圧蒸気に変換すると際に,発電機のロータを回転させて蒸気エネルギーを電気エネルギーに変換する.タービン型よりも効率の高いスクリュ型のロータを備えることが特徴である.
SteamStarの出力は最大160kW.周波数が50Hz/60Hz,電圧が400/440Vの交流電力を発電する.発電装置本体の大きさは2.604m×1.355m×2.005m.展示ブースでは,装置の説明パネルや導入実績の説明パネル,装置の内部構造模型(写真5)などを披露していた.