統合開発ツールで"ラクラク"マイコン開発 <ARM編> ―― コードを自動生成させればすぐに動作する
tag: 組み込み ディジタル・デザイン
技術解説 2010年4月22日
●メモリ配置を設定する
μVisionでは,メモリ配置情報はGUIで簡単に設定できます(図10). プロジェクトの「Target1」を右クリックして表示されるメニューで「Options for Target1」を選択します.Linkerタブをクリックして,「Use Memory Layout from Target Dialog」にチェックを入れます.Targetタブに表示されるROMとRAMの設定で,メモリの配置を調整します.
図10 メモリ配置を設定する
GUIで設定できる.
●ビルドする
実行形式ファイルを作成するためには,ビルドを行います.「Project」→「Build target」を選択するだけで,自動的にコンパイルされ,実行形式ファイルが出来上がります(図11).
図11 ビルド
「Project」→「Build target」を選択するだけ.
●サンプル・コードを活用する
マイコン・メーカは,自社の製品に適するサンプル・コードを提供していることがあります.サンプル・コードは,マイコンの動作を理解する際に役立つだけでなく,コード自体を利用することが可能です.
LPC2388の場合,NXP Semicnductors社のWebページから,図12に示す手順で入手できます.LPC 2388のすべての機能を使っているので,周辺機能の制御法も知ることが可能です.
図12 サンプル・コードのダウンロード
NXP Semicnductors社のWebからμVision向けのサンプル・コードをダウンロードできる.
リスト3がそのコードの一部です.SCSレジスタの最下位ビットで高速GPIO機能を有効にしていることが分かります.
リスト3 GPIOのサンプル・プログラムのうち,GPIOの初期化関数の一部
メーカが提供するリファレンス・デザインを活用できると,さらに効率を上げることが可能です.特定のアプリケーションに向けたハードウェアとソフトウェアの両方が提供されているので,所望の処理をするように少々書き換えるだけで済んでしまうこともあります.
●あっという間にARMマイコンが動いた!
マイコンを動作させるためには,HEXファイルを書き込む必要があります.図13に示すように,Options for TargetのOutputタブでHEXファイルを出力するようにチェックをつけます.
図13 HEXファイルの出力
リスト2のプログラムでは,写真1の基板のLEDが点滅します.
ここで,起動時のパラメータを変更してみましょう.このプログラムはLEDを点滅させているので,マイコンの動作周波数が低くなると,点滅間隔が長くなるはずです.そこで,起動コードのパラメータであるCCLKCFGの値を図14に示すように変えてみてください.意図した通りに起動コードの値が変わって,動作スピードが簡単にコントロールできていることが確認できると思います.
図14 クロックの分周率を変更する
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[コラム]
RealView Microcontroller Development Kitは『ディジタル・デザイン・テクノロジNo.5』のDVD-ROMに掲載されています.
TOOL¥Keil¥mdk.4.10exeを実行して,図Aに示すようにインストール作業を行ってください.プロフィールの入力が必要ですが,デフォルト設定のまま進めていくだけでインストールが完了するはずです.
図A RealView Microcontroller Development Kitのインストール手順
●参考・引用*文献
山際伸一;第1章 組み込みシステムを理解する,ディジタル・デザイン・テクノロジ.No.4,2010年1月.