開発エンジニアのためのiPhone活用法(4) ―― iPhoneの音楽アプリでシステム・デバックをアシストする
コラム・シリーズ「開発エンジニアのためのiPhone活用法」 |
4. 音楽アプリを使いこなす
iPhoneで使える音楽ソフトというと,iPhoneを楽器に見立ててタッチパネルによってドラムやピアノの操作を模擬するものや,iPhoneのマイク機能を使って吹奏楽器の動作を模擬するものが多いのですが,このほかに本物の楽器の演奏をサポートするためのチューニング系のアプリも存在します.組み込みシステムや半導体の開発について語る「組み込みネット」で音楽アプリを紹介するというと,「なぜ?」と思われるかもしれません.しかし,使い方しだいでは組み込みシステムの開発補助に使えるものがあります.
今回はその中から,システム・デバッグの手助けに利用できる「お役立ちアプリ」を紹介します.
●Metronome - reloaded (無料)
皆さんも音楽の授業のときに,リズムを取るためのメトロノームを使ったことがあると思います.今回紹介するのは,そのメトロノーム機能をもった音楽アプリです(1).iPhone用のメトロノーム・アプリは数多くありますが,ここで紹介するMetronome - reloadedは,登場した当初より,シンプルで必要十分な機能が備わっていることから人気があります.
メトロノームは1分間に何拍のリズムを刻むのかを音で知らせる道具で,このアプリでは30bpm(beat-per-minute)~209bpmの間でリズムの調整が可能です(図1).また,タップ機能も充実していて,例えば4拍ごとに1回のサインを出すなど,9種類の設定が用意されています.
システム・デバッグにおける活用方法については後述します.
図1 Metronome - reloadedの画面
120bpm設定時のメトロノーム動作
●A=440Hz (115円)
A=400Hzという音楽アプリは,ステージなどでギター・コードを調整する場面を想定して作られたソフトウェアです.マイク入力からの信号をオシロスコープで表示する機能やスペクトラム・アナライザで周波数成分を表示する機能を備えています(2).
オシロスコープにはガイドラインが引かれており,標準設定は440Hz/divです(図2).この数値をクリックして,例えば550Hzや1KHzに設定するとガイドラインが変化し,入力された音声の周波数がどの程度であるかを検討できます.また,このガイドラインの変化はスペクトラム・アナライザ機能にも反映され,信号に含まれる周波数成分が分かります.
図2 A=440Hzの画面
550Hzを観測した際の画面.440Hzより上の周波数であることをマーカが表示