デバイス古今東西(1) ―― FPGA業界に再び面白くて挑戦しがいのある時代がやって来た

Jack Chu

 多くの電子機器メーカにとっては,今こそ"チャレンジ"の時です.

 現在の世界の経済状況を見ると,産業用機器から民生用機器まで,幅広いビジネスが破壊的なダメージを受けています.大手メーカの多くは,いつ終わるともしれない先行き不透明な状態の中で,減益や減産といった厳しい状況に見舞われています.

 先行きは見えないものの,実はこのような時期は企業にとって戦略や進行中のプロジェクト,生産計画などの見直しを図る絶好の機会です.開発案件が絞られるに従って,開発技術者や経営層は新しい技術を供給するベンダの提案に,これまで以上に熱心に目を向けるようになります.

 ここ数週間の間に,FPGA(Field Programmable Gate Array)ベンダから新製品に関するいくつかの重要な発表がありました.最新のプロセス技術で製造されるこうした新製品の中に,設計技術者がこの困難な時期を乗り越えるためのヒントが隠れているかもしれません.FPGA業界は,好況と不況の波を何度か経験しながらも,技術革新を継続的に進めてきました.最新の技術を取り入れることにより,製品を洗練させつつ,携帯機器などの新市場へも参入しつつあります.

 本稿では,FPGAの歴史を振り返りつつ,現在,FPGA業界で起こっている新しい動きについて紹介します.

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写真1 Jack Chu氏 SiliconBlue Technologies Japan代表

●FPGA業界の生存競争を生きのびたのは4社

 1985年,Xilinx社は最初のFPGAをディジタル設計の世界に投入しました.独自開発のXC2064は,8×8の格子構造をとる64個のCLB(ロジック・セル)から構成されていました.今から考えると,技術的なアイデアは斬新であったものの,ASIC(Application Specific Integrated Circuit)と比較すると集積度や性能が低いため,適用できるアプリケーションは限られていました.

 それから約25年が経過しました.つい先日市場に投入された同社のVirtex-6ファミリは,75万個のロジック・セルを備えています.一方,Xilinx社の一番の競合企業であるAltera社のStratix IVファミリはおよそ68万個のロジック・セルを搭載し,またデバイスの性能を向上させました.どちらのベンダもファウンドリ・パートナと協業することで,ムーアの法則に従って最大規模・最高速のFPGAを開発し続けています.

 FPGAが登場した初期には,多くのベンチャ企業や大手半導体メーカが,Xilinx社やAltera社が独占するこの市場への進出を試みました.しかし現在でも生き残っているのはLattice Semiconductor社とActel社のみです.Altera社とLattice社はCPLD(Complex Programmable Logic Device)の企業としてスタートし,両社とも後に自社によるFPGA開発,およびFPGA製品を保有する企業や部門の買収によってFPGA市場に進出しました.Actel社は,軍需産業や航空宇宙産業の特殊な要求に応えられる独自のアンチヒューズ技術を保有していました.Xilinx社は,FPGAベンダとしてスタートし,後にPlus Logic社を買収し,さらにPhilip Semiconductor社のCoolrunnerファミリを買収することで,製品ラインナップにCPLDを加えました.

 最近の傾向を見ると,多くのPLD(Programmable Logic Device)ベンダが,最先端のプロセス技術を利用して製造するFPGAに多くの資金を投入しています.

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