Atom&EP80579,組み込みボードの中枢を担う ―― 組み込み市場を狙う最新Intelプロセッサの動向

福田 昭

tag: 組み込み

技術解説 2008年12月 2日

●x86系初の1チップ・ソリューション,EP80579

 続いて「EP80579」ファミリを紹介します.EP80579はIntel社が提供するx86系プロセッサとしては初めての1チップ・ソリューションです(写真5).CPU コアとキャッシュ・メモリ,コントローラ,入出力回路を内蔵したシステムLSI(SOC:System on a Chip)となっています.

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[写真5] EP80579のダイ

 EP80579は上記の回路に加えて通信/ネットワークの回路ブロックを搭載しており,全体では四つのブロックに分かれています.あるいは,四つのチップに分かれていたチップセットを1個のシステムLSIにまとめたとも言えます.なお,EP80579は組み込み用途を前提に開発されたため,for Embedded ComputingのプロセッサにIntel社は分類しています.また開発コードでは「Tolapai」と表記されていました.組み込み分野ではこれまで,Pentium M系のコア「Dothan」を搭載したPentium MプロセッサとCeleron Mプロセッサのfor Embedded Computingバージョンが普及していました.EP80579はCPUコアに同じ「Dothan」を採用しており,これまでPentium MプロセッサまたはCeleron Mプロセッサを使ってボードを開発してきたベンダにとっては,既存の開発資産を生かしやすいシステムLSIになっています.

 EP80579を採用することによって,Pentium Mプロセッサとチップセットでシステムを構成した場合と比べて,消費電力を34%低減し,実装面積を45%節約できると,同社はEP80579の発表時(2008年7月)に述べています.

 EP80579は,回路構成の部分的な違いと動作周波数の違いによって8品種が用意されています.動作周波数は600MHz~1.2GHz,最大消費電力(TDP)は11W~21Wです.動作温度範囲は0~70℃のほか,工業用に-40℃~85℃の品種を用意しています.

 チップの製造には90nmのプロセス技術を利用しています.チップに搭載するトランジスタ数は1.48億トランジスタです.パッケージは37.5mm角のFCBGAとなっています(写真6)

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[写真6] EP80579のパッケージ

 CPUコアは各32Kバイトの1次命令キャッシュと1次データ・キャッシュ,それから256Kバイトの2次キャッシュを内蔵しています.FSBの動作周波数は400MHzまたは533MHzです.

 メモリ・コントローラ回路ブロックは64ビット幅のECC(Error Correcting Code)付きDDR2メモリ・コントローラ回路とPCI Expressインターフェース回路を搭載しています.PCI Expressは1チャネル(8レーン)構成または2チャネル(4レーン)構成,2チャネル(1レーン)構成を選べます.

 入出力回路はブート・インターフェース,2ポートのSMBus,2ポートのシリアルATA,2ポートのUSB 2.0,2ポートの16550 UART,36ポートの汎用入出力,リアルタイム・クロック,ウオッチドッグ・タイマなどで構成されています.

 通信/ネットワークの回路ブロックは3チャネルのギガビットEthernet MAC,2チャネルのCANインターフェース,IEEE 1588準拠の同期タイマ支援回路,ローカル拡張バスなどを内蔵しています.また,高速アクセラレータ技術「QuickAssist Technology」に対応したEP80579には,セキュリティ・サービス・ユニットや3チャネルのTDM(Time Division Multiplex)インターフェースなどが搭載されています.

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