Atom&EP80579,組み込みボードの中枢を担う ―― 組み込み市場を狙う最新Intelプロセッサの動向

福田 昭

tag: 組み込み

技術解説 2008年12月 2日

●適度な演算性能を「超低消費電力」で実現

 Atomプロセッサは既存のx86系プロセッサに比べて低い消費電力を実現していると述べました.Intel社が公表したベンチマークでは,整数演算(SPECint2000)の場合に1.6GHz動作のAtom プロセッサは1.5GHz動作のPentium Mプロセッサの2倍を超える「性能/消費電力」を達成しています.浮動小数点演算(SPECfp2000)では,性能/消費電力の差は2.5倍程度になります.消費電力はAtomが2.2W,Pentium Mが10Wなので,Atomの整数演算性能(SPECint2000)はPentium Mの約半分,浮動小数点演算性能(SPECfp2000)は約6割ということになります.

 Atomプロセッサが「性能/消費電力」を大きく高められたのは,比較的単純なマイクロアーキテクチャのプロセッサを45nmという微細なプロセスで実現したことが大きく寄与しています.まずアーキテクチャですが,イン・オーダ実行,2命令同時発行,16段のパイプライン構成となっています.性能は高められるものの,消費電力が大きく増えがちなアウト・オブ・オーダ実行は採用していません.その代わり,マルチスレッディング技術(同社は「HyperThreading」と呼称)を採用して性能を高めています.ちなみに同社はAtomに「Hyper Threading」を導入することで消費電力が15%増えるものの,演算処理性能は30%向上する,と述べています.

 Atomプロセッサのトランジスタ数は4,700万トランジスタです.これもx86系プロセッサとしては非常に少ないトランジスタ数で,消費電力の低減に貢献しているとみられます.

●すでに数多くのボード・ベンダがAtomを採用

 Intel社は,同社の組み込み向け半導体製品を使ったベンダを認定する仕組み「Intel Embedded and Communications Alliance」を運営しています.Intel Embedded and Communications Allianceのメンバ企業であるボード・ベンダからは,数多くのAtom搭載ボードが製品化されています.2008年9月1日現在,Intel Embedded and Communications Allianceのホームページには,32のAtom関連製品(ボード以外の製品を含む)が掲載されています.

 製品化されているボードは,小さなフォームファクタに準拠したものが主流のようです.例えばCOM(Computer-on-Module) Expressボードです.台湾Advantech社のCOM Express(Basic)ボード「SOM-6760」は,外形寸法が95mm角と小さくなっています.ドイツKontron社のCOM Express(Nano) ボード「nanoETXexpress-SP」はさらに小さく,外形寸法は55mm×84mmです.米国RadiSys社のCOM Express(Compact)ボード「Procele-rant Z500」(写真4)の外形寸法は70mm×85mmとなっています.また,アドバネットの関連企業であるEuroTech社(旧Applied Data Systems社)が開発したAtom搭載の評価ボード「CatalystModule」の外形寸法は67mm×100mmです.

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[写真4] Atomプロセッサを搭載したRadiSys社のCOM Express(Compact)ボード「Procelerant Z500」

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