Atom&EP80579,組み込みボードの中枢を担う ―― 組み込み市場を狙う最新Intelプロセッサの動向
●組み込み向けは「for Embedded Computing」
Intel社はマイクロプロセッサ製品やチップセット製品,メモリ製品などの一部を組み込み機器向けに供給しています.これらの製品群を同社は特に「for Embedded Computing」と呼称しており,パソコンやサーバなどに向けた半導体製品と区別しています.Atom関連では,Z530プロセッサとZ510プロセッサ,US15Wチップセットに組み込み向けのバージョンが用意されています(写真3).
[写真3] Atom(右上)とUS15W(左下)のパッケージ
Z530プロセッサはCPUコアの動作周波数が1.6GHz,フロント・サイド・バス(FSB)の動作周波数が533MHzです.マルチスレッディング技術に対応しており,高性能品という位置付けになっています.最大消費電力(TDP)は2.2Wです.
Z510プロセッサはCPUコアの動作周波数が1.1GHz,FSBの動作周波数が400MHz.マルチスレッディング技術には対応しておらず,低価格品という位置付けです.TDPは2.0Wです.
US15Wチップセットはノースブリッジに相当する回路とサウスブリッジに相当する回路で構成されています.ノースブリッジに相当する回路には,533MHzのDDR2メモリ・コントローラ回路,3次元グラフィックス処理回路,フルHD(High Definition)のビデオ復号化回路,2系統のビデオ出力回路,高品位オーディオ出力回路などがあります.サウスブリッジに相当する回路には,8ポートのUSB 2.0ホスト,2ポートのPCI Express 1.0(×1レーン),3ポートのSDカード,パラレルATA,SMBus,汎用入出力(GPIO)などがあります.TDPは2.3Wです.
US15Wはプロセッサとのインターフェースとして,400MHzおよび533MHzのFSBに対応します.入出力レベルにはAGTL+のほかにCMOSを用意しました.既存のプロセッサ・インターフェースであるAGTL+をCMOSに変更することで,FSBでの消費電力を3割程度減らせます.