ディスプレイ内部の信号を高速に伝送するための部品に注目が集まる ―― FPD International 2008(2)
●-40~+85℃で安定して光る組み込み向け小型ディスプレイ
双葉電子工業は,FED(Field Emission Display:電界放出ディスプレイ)を展示した(写真7).電子ビームを格子状に配置したRGBの蛍光体に当てることで映像を作り出す.1組のRGBの蛍光体が1画素となる.電子源は各RGB蛍光体の数だけ設置されている.
自動車や計測器,産業機器向けシステムへの利用を見込む.こうした市場では小型の液晶ディスプレイが利用されているが,動作温度範囲が-40~+85℃と広いこと,自発光デバイスであるため視野角が広いこと,異型対応が行いやすいこと,コストが同程度であること,液晶メーカは数が見込めないと量産に対応しないことなどから,十分なビジネス・チャンスがあると同社では見ている.色の再現性とコントラストを高めることが今後の課題となる.
解像度は240ピクセル×120ピクセル,外形寸法は108mm×54mm.
●右目用と左目用の画素を搭載した3Dディスプレイ
NEC液晶テクノロジーは,3Dディスプレイを展示した(写真8).右目用と左目用の画素およびRGBフィルタを持つ.通常,こうした方式では横方向にディスプレイ・サイズを広げなければ従来と同じ画素数を実現できない.本ディスプレイでは1画素の面積を2分割し,そこに右目および左目に対応する画素を配置した.1画素の面積は小さくなったが,RGBフィルタを横方向に配列することで解像度を落とすことなく3D 対応を実現できたという.
ディスプレイ・サイズは12.1インチ型で解像度は800ピクセル×600ピクセル.利用者がディスプレイから約40cm離れたところから見ることを前提に特性を調整した.
●イベント・ステージなどに向く大型ディスプレイ用ユニット
三菱電機プラントエンジニアリングは,「シームレスマルチPDPシステム」を展示した(写真9).複数のPDP(Plasma Display Panel)を組み合わせて,数m×数mの大型ディスプレイを作り,ショッピング・モールやイベント・ステージなどに設置する.ディスプレイの「ふち」に相当する部分がおよそ4mm~6mmと小さく,画面の継ぎ目が見えにくい.
1ユニットの外形寸法は924mm×521mm,解像度は853ピクセル×480ピクセル.2×2ユニットの84インチから5×5ユニットの210インチまでの納入実績を持つ.最大9×9ユニットの組み合わせ,および制御も可能.納入事例としては,楽天本社の入り口に5×5ユニットが,東京駅構内のBMWのショールームに4×4ユニットが4セット設置されているとのこと.
展示会場では,最新のPDP「MIS-4230」も展示した.焼きつき補正専用LSIを搭載しており,PDP特有の焼き付き(写真10)をキャンセルしている様子を紹介した(写真11).