初めてのETロボコン (3) ―― ゲリラ的豪雨ニモ負ケズ,試走会IIに臨む

大山 将城

tag: 組み込み

コラム 2008年9月11日

 試走会Iの後,テスト・コース上で灰色検知を実現した我らがチーム「TAMA Lab.」は,関東地区大会に向けて最終的な戦略を練りました.今回は,灰色検知アルゴリズムの詳細と,8月下旬に実施された試走会IIの結果について説明します.

●灰色検知アルゴリズムを決める

 前回紹介した通り,私たちは齋藤 彰宏氏の論文(1)を参考に灰色検知アルゴリズムを考えました.特に,同氏が行った光センサ(赤外線センサ)の基礎実験の考察のうち,以下の情報に注目しました注1

  1. 走行時の光センサの誤検知率は約3%
  2. 誤検知する場合も,飛び抜けた間違いではない(白を黒,黒を白という誤検知は皆無)

 注1;ETロボコンは参加者が多くまた回を重ねた大会なので,有益な情報が多く存在する.私たちのような初参加チームも先人の知恵を拝借することで,効率良くモデルを作ったりソフトウェアを開発したりできる.

 図1は,エッジ走行時の黒の検知率注2の推移を簡易的に図示したものです.黒の検知率は,黒線をトレースしているとき(白-黒のエッジ走行時)に高く,灰色線をトレースしているとき(白-灰のエッジ走行時)に低くなります.この特性をプログラムに反映し,黒の検知率がしきい値より低ければ灰色線である,と定義しました.しきい値は実験によりチューニングしていきました注3

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[図1] 黒の検知率とエッジ走行の関係
縦軸は黒の検知率を,横軸はコースを,赤い矢印のついた線はエッジ走行を示す.緑の線は,灰色検知を定義するためのしきい値である.

 注2;ここでいう「黒の検知率」とは,光センサで取得した値のうち「黒である」と考えられる値が何回存在したかという割合のことを指す.例えば,光センサから100回値を取得してみて,そのうち黒と考えられる値が10回あれば,黒の検知率は10%となる.
 注3;このアルゴリズムでは,しきい値とサンプリング数のチューニングがポイントになる.しきい値を上げると短い灰色マーカに対応できるようになる反面,誤検知の確率が上がる.逆にしきい値を下げると短い灰色マーカの検知が難しくなる反面,誤検知の確率が下がる.また,サンプリング数を増やせば誤検知の確率が低くなるが,サンプリングに時間がかかるため短い灰色マーカを検知できなくなる.

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