オリジナルOS「MicrOS」の設計と実装(2) ―― アプリケーション・システムのビルドと実行
● ビルドとリンク・ディレクティブ・ファイルの修正
ここでPM+のビルド・アイコンをクリックして,ソースのビルドが行えるかどうかを確認します.一応正常にビルドは完了するのですが,図20のように2個所だけワーニングが出ます.
MicrOSasm.s 73 as850: CA850 warning W3013: register r1 used as source register.
MicrOSasm.s 154 as850: CA850 warning W3013: register r1 used as destination register.
このワーニングはMicrOSasm.sがTCBにレジスタをセーブしたり,レジスタをTCBからリストアするときにr1レジスタが使われていることを警告したものです.これはむしろ正常なメッセージです.とりあえず今回は無視します.
これでオブジェクトができましたが,実は単純にビルドしただけではリンク・アドレスが正常ではありません.リンク・ディレクティブ・ファイルの修正が必要です.
ProjectWindowの「プロジェクト関連ファイル」のMicrOStest.dirをダブルクリックして表示させます.
26行目に,
CONST : !LOAD ?R {
の行がありますから,これを,
CONST : !LOAD ?R V0x400 {
に変更します(図21).
これでリビルドして(念のため,ビルドではなくリビルドしておく)オブジェクトを作り,デバッガを起動します.
● デバッガからV850マイコン基板へダウンロード
V850マイコン基板のジャンパJ2とJ3をショートしてから,USBケーブルでマイコンに接続します.この状態でPM+のデバッガ起動アイコン(図22)をクリックすると,デバッガが起動します.
図22 デバッガ起動アイコン
「Configuration」の画面で[OK]ボタンをクリックするとロード・モジュールをダウンロードするかどうか聞かれます.[はい]と答えます.図23のソース・ファイルの選択画面が出るので,ここではApplication.cを選択しておきます.
リスタート・アイコンをクリックするとLEDの点滅が始まります.
おわりに
無事,皆さんのお手元でMicrOSが動作したでしょうか.今回作成したアプリケーション・プログラムとシステム・コールについては,次回に解説を行う予定です.
たぐち・のぶお