PHS経由でネットに接続できるEthernetアダプタのファームウェアをハック・後編 ―― 画像付きメールを利用した遠隔監視システムの製作事例

中本伸一

tag: 組み込み

技術解説 2007年11月27日

連載の締めくくりとして,Ethernetアダプタ「OSX-1」を利用した遠隔監視システムの製作事例を紹介する.画像メールを自動返信する仕組みを用意して,遠隔監視を実現した.  (編集部)

 本稿の前編では,ウィルコムのPHSモジュール「W-SIM」を利用してインターネットに接続できるEthernetアダプタ「OSX-1(愛称:つないでイーサ)」(写真1)をハックし,開発環境を導入して簡単なプログラムを動作させてみました.中編では,導入した開発環境を利用してSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバやPOP(Post Office Protocol)サーバにアクセスし,メールを自動返信するシステムを構築しました.このようにメールを利用すれば,ファイア・ウォールの内側にある機器を携帯電話などで容易に制御できます.

 前編と中編を通じて,本機が単なるW-SIMを利用したダイヤルアップ・サーバではなく,ネットワークを使うちょっとしたシステムの構築に利用できる機器であることを理解していただけたかと思います.本機に組み込まれているインタープリタ言語のSilentC(サイレントシー)を利用すれば,セルフ開発環境でソケットを利用したネットワーク・プログラムを容易に記述できます.

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写真1 W-SIMとOSX-1の写真
ウィルコムのPHS無線モジュール「W-SIM」を,ウルトラエックスのEthernetアダプタ「OSX-1」に挿入して使用する.OSX-1は,W-SIMのジャケット(W-SIMを挿入できる機器)の一つである.

● カメラ画像を添付して返信するシステムを構築する

 自分のペットは元気にしているだろうか? 現在の部屋の温度はどうなっているのだろうか? 積雪の状態を監視して融雪システムを制御できないだろうか?など,携帯電話を利用して画像を確認したいという需要は多く,各社からさまざまなシステムが提供されています.しかし,一般家庭に設置できる価格帯の製品はまだまだ少ないようです.

 その理由としては,中編で解説したように企業内や一般家庭内のインターネット環境において外部からファイア・ウォールを超えて内部にアクセスするのは難しいことと,カメラ画像を扱うためにはかなり本格的なシステムを利用しなければ実現できないことが挙げられます.

 そこで後編では,中編で説明したメール自動返信システムに小規模なマイコンでも画像を扱えるJPEGカメラ・モジュールを接続して,携帯電話で気軽に画像を確認できるシステムを構築します.

● 実はカメラ・モジュールを利用するのは難しい

 カメラ・モジュールを利用して画像を扱うシステムを構築する際に問題となってくるのが,どうやってカメラ画像をディジタル化して取り込むかという点です.現在市販されているカメラ・モジュールのほとんどが,NTSC(National Television Standards Committee)ビデオ信号を出力するものばかりです.NTSCはアナログ信号なので,そのままモニタに接続するには手軽で良いのですが,カメラ画像をディジタル・データとして扱う際には,ビデオ・キャプチャ回路が必要になります.

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