PHS経由でネットに接続できるEthernetアダプタのファームウェアをハック・後編 ―― 画像付きメールを利用した遠隔監視システムの製作事例
● 微速度撮影システムへの応用
このシステムを応用して,植物の成長などのゆっくりと変化する事象を記録し続ける「微速度撮影システム」を試作してみました.今回のMainを少し改造して,POPサーバにアクセスせず,一定間隔で無条件に画像をメールに添付して送り続けます(写真7).ソース・コードは本稿には掲載しませんが,興味のある方はhttp://www.silentsystem.jp/download.htmからダウンロードして内容をチェックしてみてください.
かいわれ大根の発芽を一定間隔で撮影し,10秒間の動画ファイルにまとめた.動画ファイルのURLは「http://www.silentsystem.jp/download/Kaiware.wmv」.
このシステムでは,これまで解説したソフトウェアを多少改造して添付ファイル名を連番にするようにしました.30分ごとに画像を撮影してメールに添付して送り続けます.撮影が終了したらメール・サーバにアクセスし,まとめてJPEG画像をダウンロードします.フリー・ソフトウェアを利用して得られたJPEG画像をつなぎ合わせ,動画ファイル(http://www.silentsystem.jp/download/Kaiware.wmv)を作成しました.
このようにJPEGカメラを利用すれば,小さなマイコンでも十分に画像を扱うことができます.今後の拡張としては,このJPEGカメラを利用してSDカードなどのメディアに画像データを長期間保存し続けるシステムや,無線データ通信モジュールと組み合わせた画像伝送システムなどを実現していく予定です.
● 最後に
3回の記事にお付き合いいただき,ありがとうございました.本機を利用すれば,場所を選ばずインターネットに接続して携帯電話と連携可能なことを理解していただけたかと思います.皆さんが,Ethernetという最も標準化が進んでおり,どこにでもあるインフラをフルに活用するために本稿がお役に立てば幸いです.
なかもと・しんいち
(有)サイレントシステム エクゼクティブエンジニア