窓が開いたらメールを出す装置の製作 ―― 無線LANモジュールを利用しセキュリティ装置を自作する
●製作の順番
まずリレー部まで作って,リレーの動作を確認します.次に3.3V電圧出力を確認し,最後にWiPortを取り付けて下さい.WiPortはWiPCB基板(若松通商で販売)に装着し,信号を取り出し易くしています.
●ケースへの組み込み
ケース(タカチ電機工業,SW-120黒)に部品を収納しています(写真2,写真3).
ケース側面に6.5mmの穴を開け,アンテナ取り付け用ねじを入れ,ラジオペンチでアンテナ取り付け用ねじが回らないようにつかみながら,外側ナットとアンテナを装着して下さい.ケースの厚みに合わせてワッシャを1個減らして,アンテナねじ中心部の接点が接触するように調節しています.稼動時間が短いので3端子レギュレータへの放熱対策は施していません。WiPortは簡単に外せるように固定せず,蓋で押さえています.
[写真2] 装置の内部
[写真3] 写真2中のWiPort基板を外したようす
●WiPortの設定
コラム1をご覧下さい.
●窓への装着と動作確認
取り付け場所となるアルミサッシは,側面の樹脂部品を取ると穴が開いています.この穴を使って本装置をひっかけています.窓をいったん閉めてから開いて,写真4のようにメールが届くかを確認して下さい.メールのタイトルは,Notification(通知)という言葉から始まります.メール本文は空となります.
[写真4] WiPortから携帯電話に届いた通知
●メールが届かない場合
冒頭の注意に書いたメール・サーバ側の設定や,ルータの設定の問題,WiPort設定の問題の可能性があります.パソコンからWiPortの設定に入れるか,メール送信先の2ヵ所とも届かなかったかを確認して,問題の切り分けを行って下さい.
WiPortのメール設定画面のRe-Notification Intervalパラメータ設定に「0」を設定しているときは,WiPort起動時に1回だけメールを出します.
あるルータでは,数時間使わないと休眠のような状態になります.そこから起こすためにRe-Notification Intervalを「40」に設定して,WiPortの電源が入っている100sの間に3回メールを出すようにすると,3回目で必ずメールが届くという例がありました.メールが届かない理由が分からない場合は試してみて下さい.
●自分で窓を開けてもメールが出てしまう
本装置は自ら窓を開けてもメールが出ます.筆者は,日常から動作確認をしていると,割り切っています.出掛ける前に設定したり,帰ったら解除したりする必要がある装置は,結局,使わなくなります.近所迷惑になる音を出すような装置ではありませんので,解除機能がない方が適当だと思います.
●ほかにもこんな使い方があります
複数の窓や扉も監視する場合は,リード・スイッチを増やして直列接続にすれば,どこか1ヵ所が開くとメールが出ます.また,離れて暮らす祖父母宅に設置し祖父母が日常の窓や扉の開け閉めを行うことで,元気であることを通知する高齢化社会向け用途に使うことも考えられます.
仮にWiPortのシリアル側にマイコンを付けた構成にしますと,マイコンからIPアドレスやポート番号を指定してメール・サーバに接続し,SMTP処理を行うようにもできます.これでPOP Before SMTP対応,日本語メール送信などを自由に行えるようになります.
マイコンのA-D変換を利用して,温度測定した結果をメールする装置にするなど,他の用途も広がります.本装置をベースとして付加価値を持ったさまざまな装置が開発できるでしょう.