新技術はスマホがけん引,業務用のハンディ・ターミナルもマルチフィンガ・アクションへ ―― ワイヤレスジャパン2012

北村 俊之

tag: 組み込み

レポート 2012年6月 5日

 2012年5月30日~6月1日,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて,モバイル技術とワイヤレス技術に関する専門展示会「ワイヤレスジャパン2012」が開催された(写真1).今回で18年目を迎える本展示会は,携帯電話関連の機器やサービス,コンテンツ,基地局向けインフラ整備,企業向けモバイル・サービス,携帯電話販売サービスなどが集結するイベントである.同時開催は「スマートフォン/ケータイショップEXPO」,「M2MクラウドEXPO」,「商用車テレマティクス&運行管理EXPO」.主催はリックテレコム.

 

写真1 会場受付のようす

 

 

●SamsungやHTCといった海外勢のスマホに注目集まる

 NTTドコモau(KDDI)などの携帯電話キャリア,および携帯電話機メーカは,2012年5月にそれぞれ発表した2012年夏モデルのスマートフォンを展示した.

 NTTドコモの機種で注目を集めていたのは,「GALAXY S III(SC-06D)」(韓国Samsung Electronics社製)である(写真2).OSとして「Android 4.0」を採用する.また,サイズが約4.8インチ,画素数が1280ドット×720ドット(HD)の有機ELディスプレイ(Super Amoled),約800万画素の裏面照射型CMOSカメラ,1.5GHz動作のデュアルコアCPU(米国Qualcomm社の「MSM8960」),2100mAhの大容量バッテリ,32GバイトのROM,2GバイトのRAMを搭載している.

 

写真2 NTTドコモの「GALAXY S III(SC-06D)」

 

 

 充電時に入力できる電流は1Aで,3G通信時の連続通話時間は約8.3時間,待受時間は約400時間,LTE(Long Term Evolution)通信時の待受時間は約300時間となっている.LTEであるXi(下り75Mbps,上り25Mbps)のほか,HSDPA(14Mbps),HSUPA(5.7Mbps),およびGSMに対応する.おサイフケータイ,ワンセグ,Wi-Fi(IEEE 802.11nHT40対応),テザリング(Wi-Fiは最大10台),エリア・メールに対応する.NOTTVや防水,赤外線通信,おくだけ充電には対応していない.

 GALAXY Sシリーズとして初めてmicroSDXCカードを搭載しており,例えば64GバイトのmicroSDXCカードを利用できる.外形寸法は約137mm×71mm×9mm,重量は約139g.ボディ・カラーはペブル(Pebble)ブルーとマーブル・ホワイトの2色を用意している.

 auの機種で注目を集めていたのは,5月25日に発売を開始した「HTC J(ISW13HT)」(台湾HTC社製)である(写真3).OSとして「Android 4.0」を採用する.サイズが約4.3インチ,画素数が960ドット×540ドットの有機ELディスプレイ(Amoled),800万画素の裏面照射型CMOSカメラ,1.5GHz動作のデュアルコアCPU(Qualcomm社の「MSM8660A」),16Gバイトのストレージ,1GバイトのRAMを装備する.

 

写真3 auの「HTC J(ISW13HT)」

 

 

 Wi-Fi(IEEE 802.11a/b/g/n、2.4GHz/5GHz帯),Bluetooth 4.0,HDMI,Wi-Fiルータ機能,Eメール(@ezweb.ne.jp),緊急速報メール(緊急地震情報,災害避難情報,津波警報)に対応する.WiMAXはサポートするが,WIN HIGH SPEEDには対応していない.海外渡航時は,GSM方式とUMTS方式(W-CDMA)のエリアで利用できる.

 外形寸法はは約132mm×66mm×11mm,重さは約142g.連続通話時間は約9.3時間,連続待受時間は約310時間.ボディ・カラーとしてレッド,ホワイト,ブラックの3色を用意しており,パッケージにはイヤホンが同梱される.

 

 

●ディスプレイを振動させて音を発生させるスマホが登場

 京セラは,音と振動で相手の声を伝える技術「スマートソニックレシーバ」を採用したスマートフォン「URBANO PROGRESSO」を展示した(写真4).5月30日からauより発売される.本スマートフォンは同社の「DIGNO」をベースとしており,IPX5/7準拠の防水,IP5X準拠の防塵に対応する.おサイフケータイ,ワンセグ,赤外線通信の機能を備える.OSは「Android 4.0」を採用する.

 

写真4 京セラの「URBANO PROGRESSO」

 

 

 スマートソニックレシーバは,受話口を使わず,端末内部に埋め込まれた振動発生素子によって,ディスプレイそのものを振動させて音を発生させる.耳の位置を受話口に合わせる必要がなく,ディスプレイに耳を近づけるだけで十分な音量で音を聞き取れる.さらに端末を耳に押しつけると,騒音下でも通常の受話口を備えた端末より良好に聞き取れるという.

 サイズが4.0インチ,画素数が480ドット×800ドットの有機ELディスプレイ,約808万画素の裏面照射型CMOSカメラ(アウトカメラ),約32万画素のCMOSカメラ(インカメラ),1.4GHz動作のシングル・コアCPU(Qualcomm社の「MSM8655」),1GバイトのRAM,4Gバイトのストレージを搭載する.最大32GバイトのmicroSDHCカードを利用可能.通信機能については,WIN HIGH SPEEDとWiMAX,Wi-Fi,テザリング,さらに海外ではグローバルパスポート(CDMA/GSM/UMTS)に対応する.

 外形寸法は約125mm×64mm×11mm,重量は約139g.バッテリ容量は1,500mAh,連続通話時間は約9時間,連続待受時間は約360時間.ボディ・カラーとしてオレンジ,シルバー,ピンクの3色を用意しており,パッケージには充電用の卓上ホルダが同梱される.

 

 

●両面のタッチ操作が可能で,背面まで透けるディスプレイを装備

 NTTドコモは,ディスプレイが背面まで透けており,同時に両面からタッチ操作が可能な「透過型両面タッチディスプレイ端末」を参考展示した(写真5).透過型ディスプレイの両面に感圧式タッチパネルを装備した.例えば「表面ではアイコンの操作を行い,裏面では画面のスクロールを行う」といった使い方を想定している.

 

写真5 NTTドコモの「透過型両面タッチディスプレイ端末」

 

 

 デモンストレーション機は,OSとしてAndroid 2.3を採用しており,ディスプレイとハードウェア・ボタンなどを搭載した端末と,CPUやメモリ,バッテリなどを搭載した本体を接続した形になっている.両面のタッチパネルはAPI連携によって認識するという.同社によると,この端末の構想が始まったのは約1年前で,透過型ディスプレイなどの新技術を利用した新しいユーザ・インターフェースや操作感をユーザに提供したいと考えたという.また,スマートフォンの急激な普及という市場からの後押しがあり,開発が進められた.現時点での実用化の予定は未定だが,耐久性の向上やディスプレイの光量増加などの課題をクリアしながら開発を進める方針.今後,端末メーカとの協業を含めて,商用化を検討していきたい,としている.

 

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