Visorが備えるSpringboard拡張スロットのアーキテクチャ
●筐体設計のガイドラインがある
モジュールの筐体(パッケージ)について検討する際,設計者にはいくつかの選択肢があります.既存のプラスチック筐体を使用することもできますし,まったく独自の筐体を開発することもできます.既存のプラスチック筐体を採用した場合,過去に使用されたものをそのまま利用できるため,開発コストを引き下げることができます.
比較的小さな筐体に回路を収納できる場合,標準的なモジュール・プラスチック筐体の一つを採用するのがもっとも融通のきく選択となります.これらのモジュールは,Visor製品向けのあらゆるキャリング・ケースに収まるようなサイズにするべきでしょう(図3).これより大きな容積を必要とするモジュールや,二つの単4形電池を組み込む必要があるモジュールの場合,バッテリ・モジュール・プラスチック筐体を使用できます.このプラスチック筐体には,標準的な筐体より背の高い部品を収納するスペースがあります(図4).プラスチック筐体のバリエーションの一つとして,メイン・ボード上の表面実装型プッシュ・ボタンを操作するレバーが付いたものもあります.標準的なモジュール・プラスチック筐体やバッテリ・モジュール・プラスチック筐体は,サード・パーティの販売店から直接購入できます.
一方,独自のプラスチック筐体を設計する場合,カスタム・モジュールの外形寸法に注意する必要があります.考慮しなければならないのは,モジュールがSpringboardスロットに収まること,各種のキャリング・ケースやHotSyncクレードルに問題なく収まることです.Handspring社のWebサイトには,Springboardモジュール用のカスタム・プラスチック筐体を作成する際に遵守するべき外形寸法の規定が示されています.とくに,モジュールを固定する部分を正しく実装できるかどうかが重要です.この部分を適切に設計できれば,モジュールはスロットに正しく収まり,ピンが曲がってしまうというようなことはまずありません.
PCMCIAスロットとSpringboardスロットは,機械的な固定方法や回路的な機能が異なります.ただし,Springboardモジュールで使用されている68ピンのメス形コネクタはPCMCIAスロットの中核となっているもので,入手が容易です.モジュールの設計者は,それぞれの用途に合わせて,このコネクタのバリエーションを適切に使用する必要があります.