Visorが備えるSpringboard拡張スロットのアーキテクチャ

Miles Brown

tag: 組み込み

技術解説 2001年5月29日

●低消費電力モードのモジュール開発に対応

 モジュールの開発者は,アーキテクチャについて検討する際,システム全体の性能に配慮する必要があります.たとえば,二つの単4形電池を利用するVisor Deluxeでは,電源がONで,静的な画面が表示されたままアイドル状態になっているとき,電流は15mA程度しか流れません.一方,CPUパワーを使うアプリケーションの場合,60mAもの電流が消費されます.Visorそのものよりも大きな電力を消費するモジュールは,システムのバッテリ寿命に大きな影響を及ぼし,ユーザにとって好ましくない状況を招くことがあります.

 このコンピュータは,バッテリが指定の電圧レベルを下回るとモジュールにロー・バッテリ信号(LOWBAT)をアサートします.Visorでは,バッテリ電圧がこのしきい値を下回ってから数ms(ミリ秒)後,モジュールへの電力がカットされます.しかし通常は,バッテリ電圧低下の条件に達する前に,OSからユーザに警告が数回送られます.ロー・バッテリ信号は,モジュールへの電源がカットされるまでの間のみ有効です.

 バッテリ電圧が低下した状態になると,内部メモリの情報を保護するため,あらゆる手段が講じられます.モジュールはその時点でシステムから回路的に切り離され,モジュールの電力消費は止まります.また,コンピュータは,電源ボタンにもアプリケーション・ボタンにも応答しなくなります.バッテリを交換している間,スーパ・キャパシタにより,少なくとも1分間は内部メモリのデータが保護されます.新しいバッテリを装着すると,モジュールを取り外してから再装着した場合と同じように,モジュールに電力が供給し直され,新規に初期化処理が行われます.

 システムがスリープ状態にあるときでも,モジュールの電力消費を完全にくい止めることはできません.とはいえ,一般には,ハンドヘルド本体の電源がOFFになったときやスリープ・モードになったとき,電力消費が非常に少ない状態に切り替わるようにモジュールを設計する必要があります.モジュールを低消費電力モードに切り替えるルーチンは,拡張APIを介してインストールされます.ハンドヘルド本体の電源のON/OFFが切り替わる(つまり,スリープ・モードのON/OFFが切り替わる)たびに,OSによってこれらのルーチンが呼び出されます.電源をオンにするかOFFにするかは,ルーチン・パラメータによって判別されます.

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