Visorが備えるSpringboard拡張スロットのアーキテクチャ
●16Mバイト×2のメモリ空間が割り当てられる
Springboardスロットはメモリ・マップ式で,16ビットのデータ・バス,24ビットのアドレス・バス,2本のチップ・セレクト,割り込み信号,システムの電源/接地,制御論理から構成されます.また,バッテリの電圧低下を知らせるロー・バッテリ信号(LOWBAT),リセット信号(RESET),2本のカード検知信号(CD1,CD2),充電用の電力を供給するパス・スルー接続,内蔵マイクロホンに直接接続する二つの端子(MIC+,MIC-)を備えています(図1).
モジュールを差し込むと,システムは,デフォルトで16Mバイトのアドレス空間をそれぞれのチップ・セレクトに割り当てます(図2).各チップ・セレクトは,16ビット幅のメモリ・デバイスをアドレスするようになっています.モジュール・メモリには,偶数ビットのワード長でアクセスする必要があります.この場合,8ビットのペリフェラルも使用できます.モジュールのアーキテクチャに応じて,ペリフェラルを上部8ビット,下部8ビットいずれかのデータ・バスに接続します.モジュールがシステムに認識されるには,モジュールのROMがCsSlot0の先頭にあり,かつ16ビット幅でなければなりません.なお,システムはCsSlot1の内容を定義していません.
Springboardアーキテクチャでは,システム電圧(3.0~3.6V)をもとに,モジュールに電力を供給することができます.電流は最大100mAまで使用できます.これより大きな電力が必要なモジュールの場合,モジュールそのものに電源を組み込む必要があります.通
常は,充電式電池またはアルカリ電池のパックを使用します.アルカリ電池のパックは,放電した後,簡単に交換できるという利点があります.一方,大きな電力を消費するモジュールには,充電式電池のパックのほうが適しています.これはデータや音声通
信などに対応したモジュールでよく利用されています.
Visorの充電式の機種にはすべて,充電用クレードルが同梱されています.ただしアルカリ電池を電源として使用する機種の場合,充電用クレードルはオプション・アクセサリになります.充電電圧は4.75~6.2Vで,Vdockという信号がそれにあたります.充電式Visorのバッテリは,Vdockによって充電されるわけですが,同時にこれは,VisorのSpringboardスロット上にある二つの端子にも電流を供給します.ハンドヘルド本体を充電用クレードルに装着した状態で,この二つの端子から合わせて最大500mAの電流が供給されます.この二つの端子を利用して,モジュールのバッテリを充電します.