玩具市場でもキーワードは「スマホ&タブレット」 ―― 東京おもちゃショー2013

磯野 康孝

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2013年7月26日

 2013年6月13日~16日,玩具に関する展示会「東京おもちゃショー2013」が,東京ビッグサイト(東京都江東区)において開催された(写真1).13,14日は関係者による商談見本市,15,16日は一般公開日である.主催は日本玩具協会.会期中4日間の延べ来場者数は159,311名.

 

写真1 「東京おもちゃショー2013」の会場入り口

 


 同協会によると,2012年度の国内における玩具の市場規模は店頭価格ベースで6,730億円となっており,デフレが長期化する厳しい経済環境の下,何とか前年度比97.5%の微減に留まっている.しかし,玩具の中核を占める10分野(カード,ジグソー・パズル,トレンド・トイ,知育/教育など)に限ると市場規模は4,019億円で,前年度比94.5%と明らかに減少した.これは,東日本大震災直後の一時の需要の高まりが時間を経ることで収まり,2010年度の規模に戻ったためと考えられる.市場全体を牽引するようなヒット商品が2012年度は少なかったことも,今回の結果の要因になったようだ.

 今年の東京おもちゃショーの商品トレンドは,ちまたの流行とリンクし「スマートフォン」,「タブレット」がキーワードになっているとのこと.親が所持するものを子供は触りたがり,その所作を真似したがるところから,スマートフォンやタブレット型の玩具に注目が集まっている.さらに,実際のスマートフォンと連動する本格的なディジタル・ガジェット・タイプのおもちゃが昨年に引き続いて増えてきている.前回目立っていた,エコをコンセプトとした玩具から,ディジタル・トイと総称される電子玩具に再び流れが戻っているようだ.

 ここでは,「日本おもちゃ大賞」受賞玩具を含め,トレンド・キーワードを意識しながら「最近のおもちゃ」をレポートする.


●国産メーカ品の本格的な子供向けタブレットが登場

 メガハウスは,Android搭載の本格的な子供向けタブレット「tap me(タップミー)」を展示した(写真2).Android搭載の子供向けタブレットとしては,2013年4月に日本トイザらスが「MEEP!(ミープ)」を発売しているが,本タブレットは,有名国産メーカのOEMであるという.

 

写真2 「tap me」本体
シリコン・バンパーの色は,レッドのほかにブルーがある.

 

 持ちやすく耐衝撃性を備えたシリコン・バンパーで覆われた「tap me」は,子供向けならではの「しっかりしたセキュリティ」,「楽しく遊んで学べる」というコンセプトを持った玩具だ.まず,「しっかりしたセキュリティ」として,子供が使える機能を指定できる管理機能「パパママモード」を搭載している(写真3).使用時間に上限を設ける,Webアクセスやメールの使用接続を管理する,使わせたくないアプリを指定する,などが可能だ.検索システムは「Yahoo! きっず」を採用している.

 

写真3 「パパママモード」の設定画面

 

 「楽しく遊んで学べる」については,一般的なゲームのほか,図鑑やドリルといった教育系アプリや,タッチパネルの直感操作を生かしたアプリなど,知育を含めたさまざまなアプリが30種以上プリインストールされている(写真4).アニメや特撮の動画配信サービス「バンダイチャンネル」にアクセスするアプリも用意されている.

 

写真4 かな文字の学習アプリ
画面をなぞり書きする.

 

 

 プリインストールされているアプリ以外にも,「キッズアプリマーケット」からアプリを入手可能.公開されるアプリは,厳しいセキュリティ・チェックと内容の審査を受けたものばかりだ.専用SNSの開設も予定しているという.

 ディスプレイは7インチのワイドTFT液晶で,200万画素の背面カメラと30万画素の前面カメラ,マイクロSDカードに対応したメディア・スロットを備える.メモリとして512MバイトのRAMと,4GバイトのフラッシュROMを搭載する.OSはAndroid 4.0.実際の操作感は,ごく普通のAndroidタブレットという印象である.もたつきはあるものの,子供向けということを考えれば及第の範囲だろう.対象年齢は主に4~8歳.7月下旬発売予定.本玩具は,日本玩具大賞の「イノベイティブ・トイ部門」で優秀賞を受賞した.

 子供向けタブレットは,海外では既に10機種ほどが発表されていると言われ,大きな潮流となってきているが,日本では始まったばかりである.今後の市場の動きに注目したい.


●「書く」に特化したタブレット型玩具

 アガツマは,大型タブレット状の学習玩具「アンパンマン よみかきキッズタブレットDX」を展示した(写真5).本玩具の特長は,実際に文字を書かせ「書き順」をマスタさせる,というところにある.本体のアイコンを押して学習する文字を選択すると,右下の液晶画面にその文字(例)と四角い記述エリアが表示される.エリア内に専用ペンで文字を書くと,書き順や形が正しいかどうかをアンパンマンの声で判定してくれる.「ひらがな」,「カタカナ」のほか,シートを替えることで「アルファベットの大文字」や「アルファベットの小文字」,「数字」の書き順や形を学習できる.

 

写真5 「アンパンマン よみかきキッズタブレットDX」

 

 

 単音の書き順だけでなく,登録されている単語の読みや絵,色などを学習するモード(問題モード)も備える.設問は500問以上用意されている.そのほか,「メロディ」や「打楽器遊び」,「サウンド遊び」のような音遊びの機能もある.外形寸法は約420mm×340mm×20mm.本玩具は,日本玩具大賞の「エデュケーショナル・トイ部門」で優秀賞を受賞した.

 

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