玩具市場でもキーワードは「スマホ&タブレット」 ―― 東京おもちゃショー2013

磯野 康孝

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2013年7月26日

●究極の携帯ゲーム機,さまざまなゲームを1台で

 ハナヤマは,1台で50種類のゲームを遊ぶことができる「ゲームロボット50」を展示した(写真6).本玩具は,2005年9月に発売した「ゲームロボット21」の後継機である.新たに30のゲームを追加した.

 

写真6 1台で50種類のゲームが遊べる「ゲームロボット50」

 

 

 ボタンを押して2けたの番号を指定することでゲームを呼び出し,光と音を使ったゲームを楽しむ.呼び出したゲームによって,音感,記憶力,判断力,推理力,瞬発力,計算力などの能力を鍛えることができるという.さらに,本玩具から,2人で参加できるゲームが追加された.対戦したり,スコアを競い合ったりなど,コミュニケーション・ツールとしても使えるという.

 50あるゲームのうち34のゲームが,視覚障害を持つ人でも遊べるようになっており,本玩具は共遊玩具としての認定を受けている.音声による取扱説明書も用意されているとのこと.本玩具は,日本玩具大賞の「共遊玩具部門」で優秀賞を受賞した.


●心を読む「ニュータイプ」玩具

 ハピネットは,人工知能と音声認識機能を搭載し,会話による相互コミュニケーションを行い,人間の心理を読めるように振る舞う玩具「的中ニャンコ 生き物バージョン」を展示した(写真7).本玩具を一言で表すと,「会話を楽しむ新しいタイプの玩具」である.遊び方は次の通り.まず,人間が生き物を一つ思い浮かべた後,「的中ニャンコ」の質問に答えていくだけで,その思い浮かべた生き物を「的中ニャンコ」がズバリ当てるというものだ.およそ10個程度の質問で答えを当ててしまう.質問の間に挟まれるジョークや言葉による感情表現も豊かで,まるで心を読まれているような不思議な面白さがある.2013年4月に韓国で販売開始され,既に世界10カ国以上での販売が予定されているとのことだ.

 

写真7 「的中ニャンコ 生き物バージョン」

 

 

 本玩具は「生き物バージョン」ということだが,登録されている生き物は350種類以上にのぼる.哺乳類や鳥類,魚類,昆虫類に始まり,恐竜やネッシーといった空想上の動物までカバーしている.質問に対する基本的な答えは,「はい」,「いいえ」,「知らない」,「微妙」の四つ(ほかに「もう1回」,「まちがえた」といった言葉で質問を繰り返させたり,戻らせたりすることもできる).これに「的中ニャンコ」が質問を返していくのだが,人工知能と音声認識によって,「的中ニャンコ」とまるで会話をしているような気持ちになってくる.

 今後は,生き物以外のカテゴリ,例えば乗り物などのバージョンを増やしていく予定だという.本玩具は,日本玩具大賞の「共遊玩具部門」で優秀賞を受賞した.


●伝説のカード・ゲーム「ムシキング」がスマホ型ディジタル・トイとして復活

 セガトイズは,2003年に一大ブームを巻き起こしたカード・ゲーム「甲虫王者ムシキング」を,新たに甲虫のコレクションや対戦ゲームができるスマホ型のディジタル・トイとした「甲虫王者ムシキング むしとりバトルずかん」を展示した(写真8).

 

写真8 「甲虫王者ムシキング むしとりバトルずかん」
カメラを使っていろいろなところを撮影する(枠内をタップ).背景色の違いなどによってさまざまなムシが出現するという.

 

 

 「甲虫王者ムシキング」は,累計出荷枚数4億枚を超えた伝説のカード・ゲームだ.今回セガトイズは,その伝説のゲームをトレンドであるスマホ型のハイテク系ディジタル・トイとして復活させた.本玩具は,まず本体のカメラ機能を使って虫を捕獲(コレクション)し,その虫を鍛えて強くしていく.操作はスマホのようなタッチパネル式である.画面はカラー液晶で,ゲーム画面なども美しい.友達と対戦することもできる.コレクション,バトル,レベルアップという男児玩具の3大要素を押さえた王道的商品といえる.

 ゲームは,まず,自分の手駒となる虫を捕まえるところから始まる.カメラで家の中や街の中などを撮影してみるのだ.すると,撮影する背景によってさまざまな虫が画面に出現してくる.その虫とバトルして勝てば捕獲成功.捕獲された虫は自動的にむしかご(昆虫図鑑)にコレクションされていく.カメラを向けた背景の色によって,出現する虫が変わってくるという.捕獲可能な虫として本体に150種類が登録済みだ.珍種や絶滅危惧種なども含まれている.コレクションした虫は,ミニ・ゲームなどで訓練し鍛えていくことになる.ここで友達の虫と対戦させることも可能だ.対戦は赤外線通信を利用して行う.

 本玩具の備える昆虫図鑑は,知育的アプローチととらえることができる.また,カメラ機能を使って虫を集めるという遊びの流れは,バーチャルな昆虫採集だ.家遊びから屋外での遊びへ,子供を誘う力を持った玩具である.

 本体にはSDカード・スロットが備えられており,撮った写真の保存などに使える.また,別売りのアタック・フィギュアを買うと,希少なレア甲虫をコレクションに加えることができる(写真9).

 

写真9 アタック・フィギュア
レア甲虫を入手するにはアタック・フィギュアについている暗号コードを入力する.

 

 

●新感覚! 口の開け閉めで音楽を奏でる直感演奏楽器

 トゥロッシュは,カエルのパペット型電子楽器「コケロミン」を展示した(写真10).背中の操作パネルにある発声ボタンを押して音を出しながら,カエルの口の開け閉め(角度)で音の高低を制御する(写真11).口を開ければ高い音が,閉じれば低い音が出る.口の開きと音の高さが連動しているので,直感的に演奏ができるという.今,何の音を出しているのかが操作パネルのリング状LEDに表示されるので,音程を常に確認でき,正確に演奏を進められる.発音ボタンで出せる音は,母音「あ」,「い」,「う」,「え」,「お」と「ター」,「ケロ」の7音.これらを組み合わせて疑似的に歌を歌わせることもできる.

 

写真10 「コケロミン」
ライムとロゼの2種類がある.

 


写真11 背中についている操作パネル
モードの切り替えや各種設定を行う.

 

 

 本玩具は簡単演奏用の「コケロミン・ロゼ」と本格演奏用「コケロミン・ライム」の2種類があり,搭載されているモードが異なる.発声や演奏が簡単にできる「そらみみモード(初期値)」は両方に搭載されているが,そのほかに,ロゼには,プリセットされている楽曲を1音ずつ演奏する「ガイドモード」などが搭載されている.ライムには,本格演奏のための「通常モード」とドラム音源を使って演奏できる「ドラムモード」などが搭載されている.

 本玩具とiPadを連動させる「iKeromin」という演奏アプリも公開されている(写真12).

 

写真12 iKerominの操作画面
専用ケーブルで本玩具とiPad,外部アンプを接続し,アプリを起動する.50音一覧が表示されるので言葉を選択し,「コケロミン」の口の開閉で音程を制御して「歌わせる」ことができる.

 

 

 カエル型パペットという形状は親しみやすく,口の開閉で音を出すという発想が斬新だ.あるようでなかった玩具であり,演奏のためのさまざまな機能を持った本格的な電子楽器である.一方,簡単な操作で音が出せることから,子供の音感教育などに活用できる知育玩具としても有用だ.なお,本玩具は,音質や音量などで優れるカエルのパペット型電子楽器「ケロミン」の小型版という位置づけである(ライン音質を比較すると,ケロミンは24ビットのD-Aコンバータを使用し,PCMのディジタル・データを生かした高音質.コケロミンは16ビットのD-Aコンバータを使用).楽器として使い込むならケロミンが,手軽に楽しむコミュニケーション・ツールとしてはコケロミンがお勧めであるという.


●バーチャル・プラモデルが現実空間で走行?! スマホ・アプリからラジコンを操作

 京商は,スマートフォン用アプリ「digimo(デジモ)」と連動し,遠隔操作が可能なラジコン・カー「ソーシャル・トイカー」を展示した(写真13).

 

写真13 「ソーシャル・トイカー」
「Audi R8」が参考出品されていた.iPadに表示されているのが「digimo」の操作画面.

 

 

 「digimo(デジモ)」は,仮想空間でプラモデルを組み立て,カスタマイズしていくアプリである.プラモデルは実在する自動車やバイクであり,3D画像で表現されている(写真14).ストアでパーツを買い揃えてデコレーションしたり,GPSと連動させて実在のショップなどを訪れることでポイントやスペシャルなパーツをゲットしたりできる.溜まったポイントはパーツの交換などに利用可能だ.digimoの運営はインフォバーンおよびデジモが行っている.このバーチャル空間のプラモデルと連動し,現実空間で走行できるようにしたものが,今回参考出品した本玩具である.

 

写真14 3Dで表現された「digimo」のディジタル・プラモデル
スワイプすることで,視点を自由に変えられる.

 

 

 本玩具は,同社が提供する1/43スケールのラジコン・カーで,スマートフォンとの通信にはBluetoothを利用する.「digimo」の画面をフリックすると,連動する「ソーシャル・トイカー」が前進する.フリック操作で走行距離やスピードを制御できる.

 本玩具の走行デモンストレーションを見たが,電波方式がBluetoothということもあり,操作に若干のタイム・ラグを感じた.反応時間の短縮と調整を進め,今年中の発売を目標としているという.説明によると,昨今のリアルな世界での自動車離れの影響が玩具の世界にも及び,ラジコン・カーへの関心が下がってきているといい,本玩具のような取り組みを進めることで改めて自動車全体への関心を高めたいとのことだった.


いその・やすたか

 

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