ウェアラブル心拍センサで見守りから居眠り防止まで ―― ワイヤレスジャパン2013,運送システムEXPO

磯野 康孝

tag: 組み込み

レポート 2013年7月 5日

 2013年5月29日~5月31日,モバイルおよびワイヤレス技術の専門展示会「ワイヤレスジャパン2013」と,安全運行,環境・エネルギー,ICTをテーマにした運輸産業向けの専門展示会「運送システムEXPO」が,東京ビッグサイト(東京都江東区)において開催された(写真1).主催はリックテレコム.同時開催のビジネス・マッチングのイベント「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2013(WTP2013)」を含めた3日間の総来場者数は45,003人.

 

写真1 会場受付の様子

 


●超小型ウェアラブル心拍センサで体調管理

 ユニオンツールは,胸に張り付けて使用するウェアラブル心拍センサ「myBeat」のデモンストレーション展示を行った(写真2).本製品は,約4cm角のセンサ部「WHS-1」と,パソコンのUSBインターフェースに差し込んで使用する受信機「RRD-1」で構成される.センサ部「WHS-1」の外形寸法は40.8mm×37.0mm×8.9mm,重量(電池を含む)は13gで,別売の電極パッドを使用して,胸部に直接貼り付ける.

 

写真2 ユニオンツールのウェアラブル心拍センサ「WHS-1」

 

 センサ部単体で,心拍(波形や周期もしくは心拍数),体表温度,3軸加速度を同時に測定・記録できる(メモリ・モード).また,受信機をパソコンに接続し,パソコン側で測定結果をモニタリングすることも可能(無線モード).無線は2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム(独自プロトコル)を使用しており,到達距離は直線で約20m.無線モードでは,一つの受信機で最大10個のセンサ(10人分の生体情報)を同時に測定できる.

 センサ部には16MビットのフラッシュROMを搭載しており,メモリ・モードで使用した場合,心拍周期データであれば約7日間のデータを蓄積できる.蓄積したデータは,USBケーブルでパソコンに接続して転送する.

 3軸加速度の測定データを利用することにより,装着者の姿勢や挙動(例えば,仰向けなのか伏せているのか,転倒したのか,など)を知ることが可能だ.同社は現在,スマートフォンと連携する心拍センサの開発を進めているという.スマートフォンに専用アプリをインストールし,Bluetooth経由で接続してモニタリングや記録が可能になれば,より手軽にデータを可視化できる.

 研究者やソフトウェア開発者向けに,アプリケーション・ソフトウェア開発用のキット(SDK)も用意されている.


●心拍センサで居眠り防止

 鉄道車両用の電源などを手掛けるトアックは,ユニオンツールのウェアラブル心拍センサ「WHS-1」を利用した業務用居眠り防止システム「眠りまセンサー」を展示した(写真3).

 

写真3 トアックの「眠りまセンサー」

 

 本システムは,心拍センサ(WHS-1)と腕時計型のお知らせ装置(写真4)から構成される.運転士は心拍センサを肌に貼り付け,お知らせ装置を腕に装着する.心拍センサとお知らせ装置は,2.4GHz帯の小電力無線によってつながっている.心拍センサで測定した心電波形をリアルタイムに解析し,居眠りの前兆となる波形を発見すると,お知らせ装置が「音」と「振動」で運転士に警告する.

 

写真4 腕時計型のお知らせ装置

 

 従来からある居眠り防止装置は車のシートに取り付けるタイプが主で,サイズが大きく,コストも高かった.その点,本システムは小型の心拍センサと腕時計型のお知らせ装置のみで構成されており,低コストですむ.また,人間側に装着するため,運転席から離れても居眠りの前触れに対して警告を発することが可能だ.


●運送業の酒気帯び確認がスマホで可能に

 厳罰化が進む飲酒/酒気帯び運転.運送業における運輸安全管理業務の中でも,始業点呼時の酒気帯び確認の重要度は増す一方だ.ガス・センサ専業メーカであるフィガロ技研は,デジタル・アルコール・チェッカ「フーゴプロ」を展示した(写真5).また,テレニシは,同製品と連携動作する酒気帯び確認・点呼システム「IT点呼キーパー」を展示した.

 

写真5 フィガロ技研の「フーゴプロ」とテレニシの「IT点呼キーパー」
写真左がデジタル・アルコール・チェッカ「フーゴプロ」.Webカメラ付きのパソコンにUSBケーブルで接続されている.パソコンのディスプレイ上に表示されているのが,「IT点呼キーパー」である.

 

 「フーゴプロ」は単体で動作するデジタル・アルコール・チェッカである.センサ部分に息を吹きかけるとアルコール濃度を測定し,判定結果を表示する.ID入力による個人識別が可能で,検査結果は本体に2500件まで保存可能だ.また,Webカメラ付きのパソコンとUSBケーブルで接続することで,パソコンへのデータ転送や,被測定者の画像保存ができる.外形寸法は,120mm×65mm×25mm.重量は約150g.

 「フーゴプロ」と連携するシステム「IT点呼キーパー」は,Web経由で遠隔地の点呼と酒気帯び確認を行うためのシステムである.各拠点にWebカメラ付きパソコンと「フーゴプロ」を設置して,本社から各拠点の乗車前の点呼と酒気帯び確認を行うことができる(写真5).電子会議システムと同様の操作感で,運転手の顔を見ながら点呼と酒気帯び確認を行える.点呼のデータはデータベース化されるので,点呼簿なども簡単に作成できる.

 「IT点呼キーパー」はスマートフォンに対応する予定.対応すれば,運転手に「フーゴプロ」と専用アプリをインストールしたスマートフォンを持たせることで,中間点呼時の酒気帯び確認をいつでもどこでも行えるようになる.測定データを送信させ本社のパソコン上で直接確認できるので,虚偽申告などの防止に有用だ.

 

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