LEGO Mindstormsの最新版「EV3」を体験してみた ―― プログラミングや思考力,問題解決力の教材を遊ぶ
黒い線のところで止まれるようになったら,いよいよ課題3「黒い線に沿って走る」,いわゆるライン・トレースです.ここでいう黒い「線」は数cmの幅があるので,基本的なライン・トレースとしては,黒い線の右端または左端にカラー・センサが来るようにしてロボットを置き,「黒だったら右にかじを切り,白だったら左にかじを切る(あるいはその逆)」というプログラムを作ります.
理屈はかんたんなのですが,これが思うように行きません.モータの回転速度を上げると黒い線を見失ってコース・アウトしたり,カーブをうまく曲がれなかったりとトラブル続出です.おかしいと思ってプログラムを元に戻しても,さっきとは挙動が変わってしまったり....「後でレースをしますので!」との声がよけいにプレッシャーに....
ふと横から,「最初の直線コースは値を見ないでガーっと走っちゃおうと思いまして」というような話し声が聞こえてきました(たぶんこちらの方).お! そのアイディア,いただき!(アイディアだけは「盗む」ことが許されていますもんね♪)
とりあえず,5秒くらいフルスピードで直進させてみて,コースで走らせてみて調整しよう,と思い,決め打ちでプログラムを作って走らせたところ,5秒ではあっさり直線コースをオーバーしてしまいます.じゃ3秒くらいにしてみる? とパソコンに戻ったところ,
...ソフトウェアが,フリーズしてしまいました.......
(この時点でのEV3ソフトウェアはベータ版ですから,まあ,そういうこともありますが...え~~っ!)
まもなくレースの開始時刻です.パソコンを起動し直す時間も,プログラムをダウンロードし直す時間もありません.ああ,アイディアの猿まねをするのではなく,堅実なプログラムを残しておけばよかった...と思っても,後の祭り.もう,このプログラムで行くっきゃありません(写真13).
写真13 いざ,ライン・トレース対決!

5秒では直線コースを通り過ぎてしまうのだから,スタート・ラインのもっと手前からスタートすればぎりぎりコース内に残れるかもしれない,と,ずいぶん手前の位置で構えました.主催側の方に「そこでいいんですか?」と聞かれるも「いいんです!」ときっぱり.では,スタート!
...破れかぶれの抵抗もむなしく,私のEV3は直線コースを通り過ぎて道を見失いました.ウロウロと哀れなEV3を回収.残念.とりつくろう余地もない完敗でした.
●教材としても活躍
こんなに遊べるLEGO Mindstormsですが,論理的思考力(数学,理科,プログラミング)や問題解決力を養う教材として,大学の工学部や高等専門学校(高専)にけっこう導入されているのだそうです(図3).特に高専は,全51校に導入済みだとか.また,企業のエンジニア研修などにも使われています.
図3 導入事例

LEGO Mindstormsは,今回紹介したようなアイコン・ベースのプログラミングだけでなく,C言語やJava言語などでプログラムを作成し,転送して実行させることもできます(例:Bricx Command Centerなど).また,LEGO Mindstormsの制御OSをそっくり入れ替えて組み込みソフトウェア開発の学習に使うこともできます(詳しくはETロボコンの競技規約などを参照).
おもちゃとして遊ぶにせよ,教材として使うにせよ,自分の望んだ動きをすぐにプログラムして試すことができるって,楽しいですよね!
LEGO Mindstorms EV3は,2013年9月に発売される予定です.それに先立ち,教育版LEGO Mindstorms EV3の販売代理店であるアフレルは,全国各地で無料体験会「アフレルEV3キャラバン100」を開催しています(詳しくはこちらを参照).このレポート記事を読んで興味を持たれた方は,この機会にEV3を試してみてくださいね♪
東京・巣鴨のCQ出版社でも,無料体験会「アフレルEV3キャラバン100」を開催します!
◆日時: 7/6(土) 18:30~20:30 または 7/7(日) 09:30~11:30(どちらかを選んでください)
◆場所: CQ出版社 セミナ・ルーム(JR山手線「巣鴨」駅より徒歩3分)
お申し込みは先着順ですので,気になった方は今すぐお申し込みください!
体験会の前に予習していきたい方には,「EV3の情報サイト」がお勧めです.特に「技術情報」でしょうか….「プログラミング」であらかじめイメージをつかみ,体験会ではばりばりEV3を使いこなしてしまいましょう!