「環境」と「安全」を両立させた最先端の乗用車に注目――人とくるまのテクノロジー展(自動車技術展)2013

福田 昭

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2013年5月31日


 自動車技術に関する総合展示会「人とくるまのテクノロジー展(自動車技術展)2013」が5月22日~24日にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催された(写真1).出展社数は475社(前回は436社),出展小間数は986小間(前回は914小間)で,過去最大の規模となった.来場者数(速報)は7万8,255名(前回は7万1,785名)とこれも過去最多を記録した.

 近年の自動車産業が抱える課題は,「環境」と「安全」である.今年の自動車技術展では,市販の最先端乗用車で「環境」と「安全」を両立させた事例が特に目を引いた.

 

写真1 人とくるまのテクノロジー展2013の横断バナー

 

 

●安全装備で固めたハイブリッド高級乗用車

 来場者の注目を最も集めていたのは,トヨタ自動車が発売した高級乗用車「クラウン ハイブリッド ロイヤルサルーン」だろう.「環境」と「安全」の両方の課題に対して高い水準で応えたモデルだ.展示ブースでは,この車のカットモデル(写真2)を展示し,数多くの要素技術をアピールしていた(写真3).

 

写真2 「クラウン ハイブリッド ロイヤルサルーン」のカットモデル

※ 以下の写真をマウスでクリックすると拡大します

 

 

写真3 「クラウン ハイブリッド ロイヤルサルーン」の環境技術と安全技術

 

 

 「環境」問題に対応するための技術は,2.5リットルのガソリン・エンジンとニッケル水素(NiH)電池,交流同期モータによるフロント・エンジン後輪駆動(FR)方式専用のハイブリッド・システムである(写真4).高級乗用車の常識であった6気筒以上のガソリン・エンジンではなく,2.5リットルの4気筒ガソリン・エンジンを採用しながら,独自の改良を加えたエンジンとハイブリッド・システムにより,3リットルの6気筒ガソリン・エンジンを搭載した高級乗用車に近い動力性能を得ているとする.システム最高出力は162kW(220PS)である.

 

写真4 「クラウン ハイブリッド ロイヤルサルーン」のハイブリッド・システム


 

 

 そして燃費の値は非常に低い.JC08モード走行の燃費は23.2km/リットルである.1.5リットル4気筒エンジンを搭載した乗用車「カローラ アクシオ」のJC08モード走行燃費(20.0km/リットル)よりも良い.
「安全」対策の装備には,自動車の衝突を防ぐ「予防安全」技術と衝突後の人的被害を軽減する「衝突安全」技術がある.いずれも大幅に充実させた.

 予防安全技術には,「アダプティブ・ハイビーム・システム(AHS)」(写真5),「インテリジェント・クリアランス・ソナー(ICS)」(写真6写真7),「プリクラッシュ・セーフティ・システム」(写真8)などがある.

 

写真5 「アダプティブ・ハイビーム・システム(AHS)」の説明パネル

 

 

写真6 「インテリジェント・クリアランス・ソナー」の説明パネル

 

 

写真7 「インテリジェント・クリアランス・ソナー」の取り付け位置

 後部トランクの下にレイアウトしてある.


 

 

写真8 「プリクラッシュ・セーフティ・システム」の説明パネル

 

 

 衝突安全技術には,「SRSエアバッグ・システム」(写真9)や「歩行者障害軽減ボディ」(写真10)などを用意した.

 

写真9 「SRSエアバッグ・システム」を展開した様子

 上半身を保護するエアバッグのほかに,膝を保護するニー・エアバッグ,側面を保護するサイド・エアバッグ,頭部を保護するカーテンシールド・エアバッグがある.

 

 

写真10 「歩行者障害軽減ボディ」の説明パネル

 

 

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