センサと無線で生体の活動を常に把握へ ―― MEDTEC Japan 2013
●超小型サーミスタを医療に応用
電子部品メーカのSEMITEC(2011年3月に「石塚電子」から「SEMITEC」に社名を変更)は,同社の超小型温度センサ(薄膜サーミスタ)が採用された応用事例を紹介していた.薄膜サーミスタは,超小型,高速応答,ペア性の高さといった特徴を有しており,医療用に適しているとする(写真11).
応用事例の一つは耳式の体温計で,連続して体温を測定する(写真12).耳の鼓膜と周辺の生体組織が発生する赤外線を薄膜サーミスタで検出し,体温に換算する.もう一つは,心拍測定用のカテーテルである(写真13).大きさが0.25mm×0.6mmしかない超小型のサーミスタをカテーテルに挿入してある.
●医療用の高精細フルカラー液晶パネルを展示
中国の深セン中航光電子有限公司とNECの合弁会社で,産業用液晶パネルの開発企業であるNLTテクノロジーは,医療用の高精細フルカラー液晶パネルを実際に動かして展示していた.展示品中で最も高密度なのは5.7型VGA(640ピクセル×480ピクセル)のフルカラー液晶パネルで,ブラウン管モニタに劣らない水準の滑らかな曲線を表示していた(写真14).
また,裸眼で立体に見える3次元フルカラー液晶ディスプレイも展示していた(写真15).大きさは7.2型,解像度はSVGA(800ピクセル×600ピクセル)である.立体視の方式はレンチキュラ方式で,心臓の手術の様子を非常に美しい動画像で見せていた.視認距離は35cm~70cmである(レンチキュラ方式に関しては,第20回 ファインテック・ジャパン レポートを参照).
このほか電子部品商社のトキトレーディングが,医療機器用のACアダプタを展示していた.医療用電気機器の国際安全規格であるIEC60601に適合したアダプタである(写真16).
ふくだ・あきら
フリーランステクノロジーライター
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