センサと無線で生体の活動を常に把握へ ―― MEDTEC Japan 2013
医療用機器と医療用部品の技術と製品に関する展示会「MEDTEC Japan 2013」が,2013年4月24日~25日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された(写真1).出展社数は383社・団体で前年(2012年)の302社・団体から大幅に増え,過去最大を記録した.来場者数は1万3210名で前年の1万577名から増加し,これも過去最高となった.
医療用機器にかかわる技術は,金属やプラスチックなどの素材はもちろんのこと,試作装置やロボット,包装,検査など多岐にわたる.本レポートでは,電気・電子に関連した展示の概要を紹介する.
●小型モジュールで生体情報を24時間監視
半導体メーカのSTMicroelectronics社は,同社の半導体製品を組み込んだ生体情報の遠隔モニタリング・システムを展示した(写真2).人体の胸部に取り付けて心拍数や心電図,体温,呼吸数などを計測する小型モジュール(「ボディ・ゲートウェイ」と呼んでいた)と,短距離無線技術Bluetoothに対応した携帯端末などで構成する(写真3).
小型モジュールは,32ビット・マイコンやBluetooth通信IC,3軸MEMS加速度センサ,OPアンプ,コンパレータ,バッテリ充電ICなどを内蔵する.展示ブースでは,心電図や心拍数などの計測結果をタブレット端末の液晶パネルに表示していた(写真4).米国ではこのシステムを利用した生体情報のモニタリング・サービスを米国Preventice社が手掛けているという.
また,DNA(デオキシリボ核酸)を解析するチップ(Lab-on-Chip)を載せた超小型モジュール「VereChip」(写真5)と,VereChipを利用した遺伝子解析システム「VereID Biosystem」を展示していた(写真6).インフルエンザ・ウイルスや炭疽菌,天然痘ウイルス,食品中の病原体などを微量の検体から検知する.遺伝子解析システムそのものは,STMicroelectronics社の子会社であるシンガポールのVeredus Laboratories社が開発した.
●無線センサ・ネットワークが人の生活を見守る
電子部品メーカのアルプス電気は,無線センサ・ネットワークを医療およびヘルスケアに応用した事例を展示していた(写真7).生活シーンにおけるアクシデントやイベントなどを把握し,無線通信で伝える.
展示ブースでは,簡単なモックアップを使って応用例を見せていた.例えば就寝時の人の状態を人感センサを使って把握するデモンストレーションでは,寝返りや離床などの状態変化を示していた(写真8).また,小型センサ・モジュールを持ち歩くことで活動時の人の状態を把握するデモンストレーションでは,階段昇降や転倒などの状態変化を示していた(写真9).小型センサ・モジュール(写真10)は加速度センサや気圧センサ,地磁気センサなどを内蔵しており,Bluetoothの無線通信によってデータを送信する.